トップは語る

キリンHD 健康領域、10年後に1000億円事業へ

 □キリンホールディングス社長・磯崎功典さん(65)

 --今年は改元という時代の節目だ

 「(平成の30年は)キリンにとって、ビールでトップから2位に転落したことが最も大きいことだった。あれだけ強かった『ラガー』でシェアを失ってしまった。幸い2018年は(新商品『本麒麟』のヒットなどで)販売を大きく伸ばし、独り勝ちと評価をされた。まずはビールが元気になることが重要で、それがグループ全体の牽引(けんいん)役になる。19年は次の成長に向けた準備の年だ。今までの延長では絶対生き残れないとの認識で取り組む」

 --今年からの新しい中期経営計画が注目される

 「18年までの3カ年中期経営計画は、構造改革を進めることを打ち出した。低収益からの脱却、それができない場合は事業売却も辞さないとしたほか、基盤のビール事業の再生、バイオ事業の飛躍的な成長を打ち出し、これらをほぼ達成できた。しかし、これに満足してはいけない。19年からの中期経営計画は次の10年の成長のための準備をする重要なものだ」

 --具体的には

 「健康領域、特に未病の分野を独自開発の『プラズマ乳酸菌』などを活用して伸ばしていく。これまでのキリンには自前主義や完璧でなくてはならないという考えが浸透していたが、今後は迅速性を重要視して展開していく。そのために、パートナーとの協業なども拡大させていく必要がある」

 --未病領域の事業をどう育成するか

 「プラズマ乳酸菌事業を早期に年間200億円規模の事業にしたい。これまで研究を進めていて、商品化に至っていない健康関連の素材もまだある。これらを商品化し、それぞれを200億円規模に育てていく。5つできれば1000億円の事業になる。10年後にそれを実現させるためにも19年からの中期経営計画が重要になる」

【プロフィル】磯崎功典

 いそざき・よしのり 慶大経卒。1977年キリンビール入社。2008年キリンホールディングス執行役員、常務などを経て12年キリンビール社長。15年3月から現職。神奈川県出身。

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