米ゼネラル・モーターズ(GM)、トヨタ自動車、独フォルクスワーゲン(VW)…。世界販売台数が年1千万台規模のトップメーカーはこれまでに相次ぎ、経営危機や品質問題、不正発覚などで窮地に陥った。そして今般、日産自動車など3社でつくる企業連合のトップを務め、販売台数で世界首位をうかがっていたカルロス・ゴーン被告の事件が起きた。各社が抱えた問題は異なるが、巨大化のひずみなのか、“1千万台の呪い”とも言えるジンクスが繰り返された格好だ。
3社で“世界首位”
「アライアンス(企業連合)は2017年には世界第1位の自動車グループとなり、年間1千万台以上を生産している」。1月8日、東京地裁で開かれた勾留理由開示手続きで、ゴーン被告は自身の経営による成果を強調した。
日産と仏ルノーの最高経営責任者(CEO)を兼務していたゴーン被告は16年、燃費不正問題を起こした三菱自動車と電撃的な資本提携をまとめ、3社連合を形成。17年は世界で約1060万台を販売し、トヨタを抜き、VWに次ぐ2位につけた。ゴーン被告は当時から、VWが手がける大型トラックを除いて比較し、3社連合が合算で世界首位だと主張しており、地裁での陳述でもその“独自基準”を披露したようだ。
ゴーン被告の規模拡大への意欲はとどまることを知らず、3社連合は中期計画で、世界販売台数を22年に現在より約4割増の1400万台とする強気の目標をぶち上げていた。だが、今回の事件により、少なくともゴーン被告の指揮下で、この目標が達成される可能性はほぼなくなった。