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珍しい「再登場」 かつての親会社がベイスターズと浮上狙う (2/2ページ)

佐野慎輔

捕鯨の因縁想起

 思えば、大洋ホエールズ時代は捕鯨の最盛期だった。名物オーナーの中部謙吉氏(故人)が「鯨を1頭余分に獲れば、選手の給料は賄える」と豪語した。その後、捕鯨は国際社会の圧力からモラトリアム(一時停止)状態が長く続き、海洋資源の減少などによる水産業の不振から業界再編に結びついていった。日本は今年、一時停止状態からの脱却をめざして国際捕鯨委員会(IWC)を脱退、商業捕鯨を再開する。マルハニチロは既に捕鯨から撤退したが、再開の年にホエールズの名が再浮上したことにいささかの因縁を覚える。

 現在の日本野球機構は1936年、日本職業野球連盟として発足した。参加した7球団の親会社は読売新聞をはじめ新聞4社に、阪神電鉄など電鉄3社。翌々年南海電気鉄道が加わった。野球が新聞報道の大きなコンテンツとなり、高い人気が新聞拡張に好影響を与えた。電鉄は所有する土地を球場に活用、入場者を電車で運んで運賃を稼いだ。

 プロ野球はその後、大洋漁業も参画した50年のセ・パ両リーグ分立という拡張期を経て、経済動向の影響で親会社も替わっていった。新聞、電鉄から映画、食品、流通の時代を経て、今は新聞2、鉄道2、IT3、食品3、リース1と自主経営の広島となっている。

 日本ハムの前身は東京急行電鉄であり、映画の東映である。ヤクルトは産経の前、日本国有鉄道弘済会(JR各社KIOSK)がスワローズを保有していた。オリックスの前は阪急電鉄と近畿日本鉄道であり、ソフトバンクはダイエーと南海。今回のDeNAとマルハニチロの試みを呼び水に、新たな関係が生まれるとおもしろい。(産経新聞特別記者 佐野慎輔)

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