政府、宇宙ごみ削減の声明へ 10カ国とともに宇宙空間長期利用

 政府が、オーストリアの首都ウィーンで11日から開かれる国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)で、米国など10カ国とともに宇宙ごみ(スペースデブリ)抑制など宇宙空間の長期利用に向けた取り組みを求める声明を出すことが5日、分かった。日本が率先して宇宙先進国と協調し、デブリ対策を打ち出すことで、今後本格化する国際ルールづくりで主導権を確保する狙いがある。

 声明は、COPUOSの下部組織の科学技術小委員会で12日(現地時間)に発出する。日本の呼び掛けに米国、英国、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、韓国、豪州、ニュージーランドの計9カ国が応じ、同様の声明を出す。インドにも協力を求めている。

 声明は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)によるデブリ削減や、ロケットや衛星を打ち上げる企業などにデブリの抑制を求めた宇宙活動法の昨年11月施行など日本の取り組みを示す。その上で、持続可能な宇宙空間の利用のため各国が自発的に取り組みを進めるよう求める。小委員会には宇宙飛行士の向井千秋氏も参加し、平和利用の重要性を訴える。

 87カ国が加盟するCOPUOSは2010年から、宇宙の長期利用に関する計28項目のガイドライン策定に向けて議論してきた。だが、一部の国が平和利用の枠を超えた規定を求めたため、ガイドライン採択は断念に追い込まれている。

 宇宙の長期利用をめぐっては、軍事大国の米中露の参加が不可欠だ。ただ米国と中露の対立は根深く、中露両国を声明に無理に引き入れれば、国際ルールづくりが空中分解しかねないと判断した。日本は「急がば回れで、まず多数派を作る」(政府関係者)戦略で、国際ルールづくりをリードしたい考えだ。