四大監査法人、電子化で協力 照会の労力削減 年内にもサービス

 あずさ、EY新日本、トーマツ、PwCあらたの四大監査法人が協力し、監査先の債権や債務などの記録照会の業務を電子化する。共同設立した新会社が今年中にもサービスを始める。膨大な単純作業の労力を削減し、監査の質向上につなげるのが狙い。競合する監査法人同士が手を携えるのは珍しく、監査を依頼する企業にとっても負担軽減のメリットが期待できそうだ。

 企業の財務諸表の数字が正しいかどうかを判断する公認会計士は、監査対象の債権や債務の残高を確認するため取引先に記録を照会するが、現状は大半を紙の資料で行っている。書類の作成や押印、封入、切手の貼り付け、郵送作業に多大な時間を費やしており、効率化が進んでいない。

 会計士からは「旧態依然とした手続きでは、現場の士気を上げるのは難しい」との声も聞かれ、労働環境を改善して監査業務の若い担い手を確保することが業界の課題となっている。

 四大監査法人は昨年11月、共同出資で新会社「会計監査確認センター合同会社」(東京)を設立した。新会社は照会先にオンラインで債権や債務状況を確認できるシステムをつくり、サービスを提供。四大監査法人がこのシステムをともに利用することで、煩雑な事務処理の負荷を減らしたい考えだ。

 システム開発に取り組む新会社の丸地肖幸社長は「準大手や中小法人、個人の会計士に使ってもらえるよう検討していきたい」と話している。