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アルミ缶軽量化でCO2排出削減 アサヒビール、製缶大手4社と開発

 アサヒビールは、製缶大手4社と共同で国産で最軽量級となるビール類飲料の缶(350ミリリットル)を開発した。従来比で1グラム(約7%)の軽量化に成功し、二酸化炭素(CO2)の排出量削減効果は年間約1万1000トンに上る。アサヒビールは2019年上半期にも全国8工場で軽量缶への切り替えを完了させる。全社を挙げてCO2の排出抑制を進め、低炭素社会の構築に貢献していく。

 アサヒビールが昭和アルミニウム缶など4社と組んで開発した缶は、胴部分のアルミの使用量を最大限減らすことで軽量化を実現した。強度を確保しながらアルミを薄くし、通常の缶よりも1グラム減の13.9グラムとなった。

 わずか1グラムにすぎないため、缶を持っても軽くなったことは実感しにくい。ただ、アサヒビール生産本部の浅野友公担当課長は「1本当たり1グラム減れば全体の削減量は年間約2200トンとなる」と話す。1キロのアルミをつくる際に排出されるCO2は5.05キロ。「約2200トンものアルミ使用量の削減で、CO2排出量は年間約1万1000トンも減らせる計算だ」と浅野氏は力説する。

 開発に当たって課題となったのは強度。「軽くなった分、強度が不足すれば製造工程で缶に穴が開くなどの懸念があった」と浅野氏。

 このためアサヒビールでは17年から神奈川工場などで軽量缶の試験を繰り返し実施。工場のラインで、缶に加わる衝撃をできるだけ抑え、へこみや変形を防ぐための設備改造などを重ね、薄くしても強度などが落ちない工夫を積み上げた。設備投資は約6億円に上る。

 ビール類飲料(ビール、発泡酒、第3のビール)で使用する350ミリリットル缶は年間28億本に上る。アサヒビールは全8工場でビール類飲料の缶は全てこの軽量缶に切り替えていく。

 今後は酎ハイ用の缶や500ミリリットル缶などについても軽量缶の開発を進める。これらの取り組みにより、50年の温室効果ガス排出量を“ゼロ”とする「アサヒカーボンゼロ」の実現を目指す。

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