上場79行 8割超、減益・赤字 4~12月期 超低金利響く

不正融資問題で巨額損失を計上したスルガ銀行本店
不正融資問題で巨額損失を計上したスルガ銀行本店【拡大】

 東京証券取引所などに上場する地方銀行79社の2018年4~12月期決算は、最終利益の合計が前年同期比16.0%減の6938億円となった。超低金利による貸し出し利ざやの縮小に加え、外債運用などの損失拡大が響いた。不正融資問題で巨額損失を計上したスルガ銀行(静岡県沼津市)など3社が赤字になり、全体の8割を超える65社が減益または赤字となった。

 19年3月期の通期予想は最終利益合計が前期比9.5%減の8768億円で、2年連続で1兆円を割り込む見通し。

 日本経済は安倍晋三政権下で成長を続け、景気拡大期間は戦後最長を更新したとされる。しかし人口減少や高齢化で地方経済の疲弊は進んでおり、大都市部との格差は拡大。地銀の収益悪化に歯止めがかからない状況だ。

 今回の決算では、米中貿易摩擦を背景とした株安と米金利の上昇が昨年後半に進んだことも直撃。多くの地銀が株式や外債運用で多額の損失計上を迫られた。

 集計した三菱UFJモルガン・スタンレー証券の笹島勝人シニアアナリストは「日銀のマイナス金利政策は終わりが見通せず、支店や人件費の削減は待ったなしの課題だ」と危機感を示した。

 業績を個別に見ると、スルガ銀がシェアハウス向け不正融資で961億円の最終損失を計上。外債の売却損を35億円計上した栃木銀行(宇都宮市)と、経営が悪化した曙ブレーキ工業への融資で70億円の引当金を積んだ武蔵野銀行(さいたま市)も赤字に転落した。

 一方で増益となった地銀も14社あった。地域の企業への積極的な融資に取り組んだり、「働き方改革」で残業代の削減に取り組んだりした宮崎銀行(宮崎市)は最終利益が前年同期比4.2%増の71億円、不良債権処理の費用が減少した中京銀行(名古屋市)も7.9%増の25億円となった。