生命の起源解明に期待 はやぶさ2着地


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 地球はどのようにして命を育む星になり、われわれ人類が生きているのか。はやぶさ2が採取した小惑星リュウグウの物質を詳しく調べることで、この根源的な謎を解くヒントが得られると期待されている。

 46億年前の太陽系誕生直後、地球などの惑星は多数の天体が衝突した際のエネルギーで高温になり地表が溶け、原始の状態は失われた。一方、惑星になり損ねた小惑星は溶けておらず、太陽系初期の物質状態をよくとどめているとされる。

 初代はやぶさが探査した小惑星イトカワは岩石だけでできているが、リュウグウは有機物や水を含むタイプだ。生命の材料であるアミノ酸などの有機物は、太古の地球に小惑星や隕石(いんせき)が落下して届いたとの仮説が有力だ。リュウグウの物質に含まれる有機物を調べれば、その検証につながる。

 アミノ酸は原子の構成が同じでも、右手と左手のように、分子の立体構造が鏡に映したような違いがある。生物をつくるアミノ酸は大半が「左手型」だ。小惑星にあるアミノ酸も同じ左手型が多ければ、生命の材料が宇宙から運ばれた可能性が高まる。

 地球の海水も一部は小惑星などによって運ばれたとみられる。水の分子をつくる酸素や水素の同位体比が地球と小惑星で一致すれば、同じルーツを持つことの状況証拠になる。