試乗スケッチ

孤高からの脱却は? アストンマーティンを悩ます“歴史に縛られた悲劇” (3/3ページ)

木下隆之
木下隆之

 とはいえ、魂は薄れていない。今回試乗したDB11を見る限り、熱い走り味には一点の曇りもない。メルセデスAMG製のV型8気筒エンジンは最高出力503psを発揮、最大トルク674Nmを絞り出す。イグニッションボタンに指をかけて火を入れれば、野獣が喉を鳴らすような獰猛なサウンドが響く。アクセルを踏み込むとすぐさま過激な加速が襲ってくる。停止状態から回転系の針が100km/hに達するまでわずか3秒だというから激しい。

 平成の男性の意見は?

 ボディは1.7トン台にまで軽量化を進めていた。牙が抜かれることなく、熱い走り味は健在だった。古くからのアストンマーティンユーザーは肩を落とさなくてもいいだろう。

 個人的には以前のフォルムが好みだった。僕のまわりにいる昭和世代の男性も同様の意見だ。機会があったら平成の男性に同様の質問をしてみようと思う。

 ジェームズ・ボンド役がショーン・コネリーから変わった時にがっかりした同じ悩みをいまアストンマーティンは抱えているのかもしれない。

 【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちらから。

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木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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