日産の特別委27日に報告書、指名委等設置会社への移行、取締役会議長に社外取締役、定款変更… (1/2ページ)

 前会長のカルロス・ゴーン被告の事件を防げなかったコーポレートガバナンス(企業統治)の改善に向け、議論を重ねてきた日産自動車の特別委員会が27日に報告書をまとめる。特別委が「権力の集中」を問題視し、会長の役割縮小を検討していたことを察知した仏ルノーが日産の会長指名を断念するなど、その議論の方向性は既に両社に影響を与え始めている。日産は提言を受け、「ゴーン後」の経営体制について本格的な検討に入るが、会社の“憲法”とも言える定款(ていかん)の変更にも踏み込む公算が大きい。(高橋寛次)

 特別委は社外取締役を増やして取締役会の過半を占めるようにすることや、「指名」「報酬」「監査」の3委員会を持つ「指名委員会等設置会社」へ移行することを報告書に盛り込む見通し。また、会長が兼務していた取締役会議長を社外取締役が務めることも提言する方向で、このことが日産の会長職をめぐる両社の駆け引きを左右した。

 日産とルノーが結んでいる協定では、ルノーが日産の最高執行責任者(COO)以上の役職を指名できるという規定がある。現地メディアの報道では、ルノーの筆頭株主である仏政府の関係者は、ルノーのジャンドミニク・スナール会長が日産会長を兼務すべきだとの考えを示した。スナール氏らの新体制発足を契機にルノーとの関係修復を進める日産だが、会長人事をめぐり、両社の対立が再燃する恐れがあった。

 特別委は事件の背景に権力の集中があったことで一致。両社の会長兼務は、ルノーの会長兼最高経営責任者(CEO)だったゴーン被告が日産の会長を兼務していた状況に近づくため、問題視する意見も出たようだ。日産株の約43%を保有し、株主総会で取締役選任の決定権を持つルノーの会長による日産会長兼務は、自分で自分の人事権を持っている状態とも言え、企業統治上の問題は明らかだ。

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