【クラウドWatch】日立、工程の立案・管理を最適化 多品種工場向け

日立の工程計画立案・管理システムの概要
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 ■割り込み作業対応も容易

 日立製作所と日立パワーソリューションズは、多品種の産業機器を製造・メンテナンスする工場向けに、作業に最適な製品の配置を提案し、最適な工程計画を立案・管理するシステムを開発した。

 従来、工場における工程計画は熟練者の経験をもとに作成されてきたが、複数の製品を扱う場合や、作業途中で発生した割り込み作業を組み込む場合には、計画の変更が難しいという課題があった。また、工程計画が複雑となるため、生産管理者が現場の作業状況を把握しにくく、工場全体の作業量の適正化が困難だった。

 今回開発した工程計画・管理システムは、こうした課題を踏まえて開発された。製品別の作業工程に必要なスペースを考慮した最適な製品配置の立案と、工場内に設置したカメラを用いて作業状況の検出を行う人工知能(AI)機能を備えている。

 具体的には、設備を使用するスケジュールを考慮しながら製品配置を計画することにより、スペース不足による作業遅延をなくすアルゴリズムを構築し、作業時間がより短くなるよう、最適な工程計画を作成するスケジューリング技術を開発した。

 この技術により、製品や設備ごとの作業スケジュールを示すガントチャートと、製品の配置計画を示したレイアウト変化図が作成可能となる。工程計画を自動作成できるため、作業途中で発生した割り込み作業を容易に工程計画に組み込める。

 一方のAI機能は、機械学習を用いて、カメラで撮影した映像データから製品番号や製品などを検出し、作業状況を把握できる画像認識技術をベースとしている。この機能を利用し、ガントチャートやレイアウト変化図と作業状況を比較することで工場内の進捗(しんちょく)状況を見える化することにより、計画順守に向けた作業量と作業人員の適正化を図れる。

 開発した技術を日立パワーソリューションズのメンテナンス工場に適用し、過去に行った作業データを用いて検証したところ、計画していた作業日数を20%短縮できることを確認したという。

 日立と日立パワーソリューションズでは、この技術をLumadaのユースケースに位置付け、2019年度中のシステム実用化を目指して取り組みを進める計画だ。(インプレスウオッチ)