電力融通90万キロワットに増強 北海道-本州、新送電線の運用開始

新たな送電線の関連施設を説明する北海道電社員=28日、北海道北斗市
新たな送電線の関連施設を説明する北海道電社員=28日、北海道北斗市【拡大】

 全国の電力融通を指揮する電力広域的運営推進機関は28日、北海道と本州を結ぶ「北本連系線」を増強する新たな送電線の運用を始めた。従来のルートとは別に、北海道電力が青函トンネル内に容量30万キロワットのルートを整備した。融通できる容量は90万キロワットに増強。昨年9月の北海道地震で全域停電の一因とされた容量不足が、一定程度改善する。

 新ルートは長さ122キロで、北海道電が2014年から工事費約600億円を投じて整備した。

 28日は、北海道北斗市の関連施設で記念式典が開かれた。北海道電の藤井裕副社長が電流の制御スイッチを押し、午後3時ごろに運用が始まると、出席者約20人から拍手が湧いた。藤井氏は報道陣に対し「(新たな)北本連系線で全域停電のリスクは減ったと判断している。電力の安定供給に向け、さらに努力したい」と語った。

 北海道地震では、当時の容量上限の60万キロワットを本州側から送ったが、道内最大の火力、苫東厚真発電所(総出力165万キロワット)の緊急停止などで需給バランスが崩れ、全域停電に陥った。