はやぶさ2、小惑星への弾丸衝突に成功 JAXA発表


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  • 小惑星探査機「はやぶさ2」の衝突装置運用実施に関し、記者会見するJAXAの吉川真准教授=5日午後、相模原市中央区のJAXA相模原キャンパス(川口良介撮影)
  • 小惑星探査機「はやぶさ2」の衝突装置運用実施に関し、記者会見するJAXAの久保田孝教授(左)と吉川真准教授=5日午後、相模原市中央区のJAXA相模原キャンパス(川口良介撮影)

 探査機「はやぶさ2」が5日、小惑星「リュウグウ」に人工クレーターを作製するための弾丸衝突に成功した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発表した。世界初の成果で、地下の物質の採取に向けて大きく前進した。

 はやぶさ2は5日午前、高度約500メートルまで降下し、10時56分に弾丸を発射するための衝突装置を分離。11時36分に装置を爆発させて銅の弾丸を発射し、地表に衝突させた。

 機体から分離したカメラが爆発の様子を撮影しており、岩石が飛び散る様子が確認できたことから、JAXAは弾丸衝突に成功したと判断した。ただ、クレーターができたかどうかは不明で、4月下旬にも上空から観測して調べる。

 責任者の津田雄一プロジェクトマネージャは会見で「宇宙探査の新しい手法を確立した。大変興奮している。これ以上望むものはない成功だ」と話した。

 はやぶさ2は爆発と弾丸発射による装置の破片や岩石の飛散から身を守るため、リュウグウの裏側に退避しており、機体の無事も確認した。

 順調にいけば5月下旬にも衝突現場の付近に着地し、クレーターができたことで露出する地下の物質採取を目指す。今年末にリュウグウを離れ、来年末に地球に帰還する予定だ。

 今年2月の着地で採取を試みた物質や、初代はやぶさが別の小惑星から平成22年に持ち帰った微粒子は、いずれも地表にあったもので、宇宙線などを浴びて変質している。地下の物質は約46億年前の太陽系初期の状態を保っており、世界初の貴重な研究試料になる。