令和経済の展望

スマホの次へ技術革新 米中軸に競争激化、日本出遅れ

 スマートフォンの次をめぐる戦いは既に始まっている。2007年に米アップルが発売したiPhone(アイフォーン)の登場から10年余、スマホを基盤に多様な新サービスが生まれた。同じようにビジネスや生活のルールを変える「次世代端末や技術がそろそろ出てもおかしくない」(スマホゲーム大手首脳)。

 スマホ後を見据え、米グーグルやフェイスブックもコンテンツ領域の主役となりそうな仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術への投資を加速。動画サイトAbemaTV(アベマティーヴィー)を展開するIT大手サイバーエージェントの藤田晋社長は「さらに便利に複数端末でどこでもいつでもコンテンツを楽しむ時代が来る」と対応策を練る。

 技術革新がこうした進化を支える。インターネットイニシアティブ(IIJ)の鈴木幸一会長は「集積回路(IC)の処理速度は今後10年間で数倍になると見込まれ、量子コンピューターなど新しい枠組みも生まれる」と予想する。

 通信も第5世代(5G)移動通信システムの登場で一段と速度や容量が増す。端末が環境に無数に置かれ、大量のデータが行き来するモノのインターネット(IoT)時代が到来し、手際よく情報を処理する人工知能(AI)技術の重要性が一段と高まる。

 既に米中の巨大IT企業を軸に競争が激化しているが、この構図に日本企業が入り込めない可能性もある。AIを扱える人材が不足しているとした上で、野村総合研究所の城田真琴上席研究員は「AIを中心とするソフトウエア技術も、チップを設計するハードウエア技術も日本は米中に劣後している」と危機感をあらわにした。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus