もちろんクルマの機能にもボルボやスウェーデンらしさが溢れている。試乗車は高級オーディオ「Bowers&Wilkins」のサウンドシステムを搭載しており、スウェーデンにあるイェーテボリ・コンサートホールの最高のシートと言われる「座番号577番」で聴くことのできる音響を再現。キャビンには北欧の自然をイメージしたドリフトウッド(流木)を模したパネルを採用している。乗員の安全確保を開発理念の中心に据えるボルボらしく、16種類以上の先進安全・運転支援技術「インテリセーフ」を標準装備するなど安全面でも抜かりはない。木村社長が「ボルボは中国資本が入ってよくなった例。商品づくりやデザイン、安全性を会社のコア部分として進化させる考え方など、スウェーデンのやり方で続けている。『お金は出すけど口は出さない』という方針が上手くいっている」と語る通り、スウェーデン・ブランドという付加価値は損なわれていないのだ。
安心・快適をどこまでも
彼らの話を聞いていると、競合車として意識しているのは「A4 allroad quattro」を筆頭に「3シリーズツーリング」、「Cクラス・ステーションワゴン」、「パサートAlltrack」などだ。このラインアップを見ても分かる通り、クロカン仕様のV60クロスカントリーも基本的にはオンロードを中心に使用することを念頭に開発されている。「都会、ときどき自然」といったライフスタイルに向いているのだ。
都会、アウトドアなどシーンを問わないスタイリッシュなフォルム。雨や雪が降っても、アスファルトが泥濘路になっても安心して目的地まで走ることができる“超実用的”なプレミアム・クロスオーバー。これがV60クロスカントリーの価値だと思う。
《ヒトコト言わせて!》
今回はボルボ・カー・ジャパンの木村隆之社長に直接、「60シリーズの購入を考えているユーザーがXC60とV60クロスカントリーで迷ったら?」と聞いてみました。
木村社長「都会で立体駐車場を利用される方はV60クロスカントリーがイチオシですが、スタイルなど個人のお好みで選んでもいいと思います。走りの面では、例えば雪道で普通の運転技量のドライバーがどちらのクルマで安心して乗れるかといえば、実はV60クロスカントリーです。ヒップポイントはそれなりに低いですし、路面の感覚も良く伝わってきます。路面が荒れた状況でより安定感があり、都会で取り回しがしやすいのはV60クロスカントリーの大きなポイントです」
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【乗るログ】(※旧「試乗インプレ」)は、編集部のクルマ好き記者たちが国内外の注目車種を試乗する連載コラムです。更新は原則隔週土曜日。▼アーカイブはこちらから
■主なスペック(V60クロスカントリー T5AWD Pro)
全長×全幅×全高:4785×1895×1505ミリ
ホイールベース:2875ミリ
車両重量:1810キロ(※サンルーフ装着車は20キロ増)
エンジン:水冷直列4気筒DOHCターボ
総排気量:2.0リットル
最高出力:187kW(254ps)/5500rpm
最大トルク:350Nm(35.7kgm)/1500-4800rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:電子制御AWD
タイヤサイズ:235/45R19
定員:5名
燃料タンク容量:60リットル
燃料消費率(JC08モード):11.6キロ/リットル
ステアリング:右
車両本体価格:649万円