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顔認識使い顧客開拓 交通系など販路拡大 エイコム・飯塚吉純社長

 エイコムが開発した顔認識マーケティングツール「BeeSight(ビーサイト)」への引き合いが活発化している。手軽に活用できるローコスト運用にもかかわらず、顔の画像から性別や年齢などの情報を瞬時に取得できるためで、導入先も拡大、2019年7月期の売り上げは目標とする1億円を突破する見込みだ。飯塚吉純社長は「ビーサイトのバージョンアップなど開発に注力しながら販路拡大にも積極的に取り組む」と意欲を見せる。

 --ビーサイトを活用した実証実験が増えている

 「昨年12月から今年3月までJR東日本が実施した人工知能(AI)による駅案内システムの共同実証実験に参加した。東京・品川駅で、AIチャットボットサービスを手がけるコンシュルジュ(東京都千代田区)と協業して『AI対話(アイタイワ)』というAIサイネージを設置し、お客さまに『より早く』『より的確な』情報を提供した」

 --参加して分かったことは

 「顔認識技術とAIを組み合わせることでサイネージ市場を新たに開拓できることが分かった。顔認識にAIチャットボットを融合したサイネージの開発に取り組む。JR東は今夏にも実証実験を再開すると聞いており、参加に向けて新たな案内AIシステムの仕組みを提案する予定」

 --引き合いが活発な理由は

 「従来の顔認識システムはサーバーを設けてネットワークにつなぐ必要があり、コストは高くなる。ビーサイトはスタンドアローンで手軽に活用できるため大手メーカーの5分の1から10分の1というローコストで、性別や年齢、表情、顔の向きなどを認識。商品などに興味を持って視点を移す人などの情報を収集・分析してデータを送信する。画像は送らず保存もしないので個人情報の収集には該当しないし、個人情報が流出する心配もない」

 --ビーサイトもバージョンアップしている

 「流通店舗などでは集客や滞留などマーケティングデータを取得して棚前購買行動の分析に使われているが、注目時間に加え、新たに視線の方向も分かるように改良した。またパソコンをアンドロイド版からウィンドウズ版に切り替えた。処理速度を速めるためだ。大型客船のビュッフェ式レストランの入り口に設置し、歩きながら入店するお客さま情報を瞬時に厨房に知らせ、調理に生かしたり食材ロスを防ぐのに役立てたりするにもウィンドウズ版のほうが優れる。顔の精度向上のためカメラの高性能化にも取り組む」

 --今後の展開は

 「19年7月期の売り上げは目標の1億円を達成しそうだ。カメラ設置台数が前期の約5000台から約3万2000台まで急増するため。新たな交通系サイネージのほか、大手ショッピングモール内のキッズルームに笑顔コンテスト機能付きサイネージの設置といった導入実績が認められ、実証実験に取り組みたいという企業が増えてきた。待ってもらっている状態。効果的なマーケティングデータを取得したいからだ。効果を見るための実証実験なので、実際の設置につなげたい。来期は1億5000万円の売り上げを目指すが、そのためにエンジニアを増やす。人材を厚くして安定した収益を生みだせる企業体質に切り替えていく」

                  ◇

【プロフィル】飯塚吉純

 いいづか・よしずみ 1985年東放学園専門学校放送技術科卒。映像制作会社を経て2002年アーツエイハン、11年エイコムを設立し社長。54歳。東京都出身。

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【会社概要】エイコム

 ▽本社=東京都新宿区新宿1-18-13 協健新宿1丁目ビル

 ▽設立=2011年8月12日

 ▽資本金=1000万円

 ▽従業員=3人

 ▽事業内容=顔認識技術、デジタルサイネージ機器、コンテンツ制作

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