金融

日本郵政、大和証券と金融商品開発で提携 手数料収入拡大へ

 日本郵政は15日、大和証券グループ本社と提携すると発表した。傘下のゆうちょ銀行と大和証券が投資信託で運用する金融商品の開発を共同で行う。低金利が長期化して国債などの運用収益が落ち込む中、日本郵政はゆうちょ銀による金融商品販売で手数料収入の拡大を狙う。

 顧客が投資方針を選んだ上で、投信を対象にした資産運用を金融機関に一任する「ファンドラップ」と呼ばれる商品を共同開発し、ゆうちょ銀の233の直営店と約1500ある大型郵便局での販売を検討する。政府に新規事業の認可を申請し、2021年1月頃の販売を目指す。

 低金利が続き、預貯金以外で資金運用を考える個人は増えている。日本郵政グループは投信を貯金の代替と位置付け、低リスクで長期運用に向いた商品拡充や販売体制の整備を推進。15年に三井住友信託銀行や野村ホールディングスと投信開発会社を設立したが、大和とも組んで顧客ニーズに即した金融商品を増やす。

 15日の会見で日本郵政の長門正貢社長は「これまで以上に顧客の資産形成をサポートできる」と期待を語った。一方、大和も日本郵政と組めば、全国の郵便局ネットワークで商品を販売できる利点がある。

 ゆうちょ銀の3月末時点の投信残高は約2兆3000億円と1年前より約4割増えた。ただ、180兆円の貯金残高と比べて規模は小さいため成長の余地が大きいとみており、28年3月末に投信残高を10兆円に引き上げる計画だ。

 日本郵政が15日に発表した19年3月期の連結最終利益は前期比4.1%増の4794億円だった。宅配便「ゆうパック」などの取扱数量が増加して傘下の日本郵便の収益が拡大し利益を押し上げた。

 だが、宅配便は人手不足が足かせになって今後の大きな成長が望みにくく、ゆうちょ銀も低金利で厳しい経営が見込まれる。このため、昨年12月には米保険大手アフラック・インコーポレーテッドへの出資を決めるなど、新たな収益源の創出がグループの課題になっている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus