金融

技術革新へ資金移動業を3類型に 金融庁検討 業者乱立で利用者にリスクも (1/2ページ)

 現在は1類型しかない資金移動業者について、「少額」と「高額」の送金に特化した類型を新設し、3類型とする検討が金融庁で進んでいる。取り扱う金額に応じた規制を設け、新規参入を促進することで決済分野のイノベーション(技術革新)を後押しする狙いだ。しかし、3類型に増やすことで得られるメリットは具体性が乏しく、利用者のリスクが高まることへの懸念を指摘する声も上がっている。

 金融庁は来年の通常国会で資金決済法など関連法案の改正を目指す。

 検討しているのは、資金移動業者が取り扱える金額の上限である100万円を超えた高額送金を可能とする「高額資金移動業者(仮称)」と、数千円から数万円程度の少額送金に特化した「少額資金移動業者(仮称)」の新設だ。高額資金移動業者には、利用者の資産が事業者に滞留しないよう、利用者の送金指示が伴わない資金の受け入れを認めない規制を設ける。少額資金移動業者は、預かった資金の保全義務を撤廃するなど、規制を緩和する案が検討されている。

 資金移動業者の業務範囲を広げ、参入障壁を下げることで決済事業への新規参入を促す狙い。だが、大和総研の長内智(さとし)主任研究員は「決済事業者が乱立することで利用者にとっては何を使って決済すればいいのか分かりにくくなる恐れがある」と語る。

 スマートフォンの普及や政府によるキャッシュレス決済の推進で、楽天やLINE(ライン)など異業種からも参入が相次ぐなど、すでに決済分野の競争はかつてないほど激化しているからだ。

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