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地デジ電波、大雨予報に活用 局地観測に効果 五輪までに実用化へ (1/2ページ)

 地上デジタル放送用の電波で水蒸気を観測し、局地的な大雨の予測に活用する研究に、情報通信研究機構(東京)が取り組んでいる。既に、関東の8地点で東京スカイツリーなどが発する電波による観測を開始。2010年ごろから構想を始めた研究は、目指している20年東京五輪・パラリンピックまでの実用化に向け、あと一歩まで来ている。

 夏の夕立のように短時間に激しく降る雨は、台風などの気象現象と比べると規模が小さく、予想することが難しい。研究は、水蒸気が多いと電波の到達がわずかに遅れる性質を利用し、雨粒になる前の水蒸気の分布や変化を把握。大雨の予想精度向上に役立てる。

 川村誠治主任研究員によると、1つの電波塔の周辺に複数の観測点を置けば、地表付近の水蒸気量を広い範囲でつかむことができる。地デジの電波は信号強度が強く、新たに観測用の電波を発射する必要がないといった経済的な利点もある。

 もちろん課題もある。水蒸気が1%増えたときに生じる電波の遅れは、距離5キロで1兆分の17秒。このわずかな時間を正確にとらえようとする際に壁となるのが、発信側と受信側の装置がもたらす「雑音」つまり電波の乱れだ。

 このため、研究では電波塔から直接届く電波と、ビルなどの建築物から反射する電波の2つを同じ地点で観測。反射波から直接届く波のデータを差し引くことで、両者に含まれる雑音を相殺することに成功した。得られたデータを取り込み大雨の予測実験をしてみたところ、精度向上を確認できたケースもあった。

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