クルマ三昧

車の性能を左右する存在…タイヤを「ただの丸いゴム」と侮るなかれ (1/3ページ)

木下隆之

 「最終的にはね、タイヤ屋さんに頑張ってもらったんですよ」-。自動車メーカーの開発スタッフの口から、そんなコメントを聞くことも少なくない。

 メーカーには、市販化を前にクリアにしなければならない要件がある。音や振動は、厳格に数値が決められているし、操縦性に関しても同様で、テストドライバーが求めるハンドリングが得られなければ開発テストは終わらない。耐久性や燃費性能、あるいは乗り心地などに、けして破ることのできない基準がある。開発部隊はそれを「六法全書」と呼び、守らざるを得ない規則として尊重しているほどなのだ。

 新型モデルを開発する過程で発生する、そんな様々な問題点を、装着するタイヤを専用設定することで解決させることも珍しくはない。クルマの最後の味付けである塩コショウを、タイヤにすがることも少なくないのである。

 「タイヤ屋さん助けて」

 通過騒音(クルマを一定速度でマイクの前を通過させた時の音量)が基準を超えていたとする。その原因がエンジン音なのか風切り音なのかマフラーなのか、改善点は様々だろうが、最終的には、タイヤが発する音を減らすことで整えるということは頻繁に行われている。

 燃費が要求値を超えていたとする。すわ、タイヤの転がり抵抗を減らす。パワートレーンの改良には膨大な時間とコストがかかる。タイヤなら簡単だとは言わないものの、タイヤ開発はフットワークが軽い。なので、「タイヤ屋さん、なんとか助けて~」となる。冒頭で紹介した開発スタッフのコメントは、タイヤに依存する現実を語っている。

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