公正取引委員会の山田昭典事務総長は19日の記者会見で、政府が地方銀行の再編について、独占禁止法の特例法を定める方針を示したことに対し、「具体的な制度設計にあたっては、利用者の利益を損なわない仕組みを盛り込むべきだ」と注文をつけた。
今月5日の政府の未来投資会議で、金融庁が統合審査を主導し、地域での貸し出しシェアが高まる場合でも経営統合を認める方針が決まった。山田氏は「地域のインフラが消失してしまう事態に措置が必要と判断したと受け止めている」と理解を示す一方、「インフラ維持のために本当に必要な場合に限るべきだ」と強調した。規制緩和による新たなテクノロジーの支援、新規参入の促進といった施策を考えることも併せて必要とした。
特例法の制定は、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と長崎県地盤の十八銀行の経営統合をめぐり、審査が長期化したことがきっかけ。県内シェアが高まり、利用者が不利益になると懸念したためで、公取委は平成28年度に審査を開始したのち、事業譲渡を条件に平成30年度に承認した。