試乗スケッチ

レース仕様EV「リーフニスモRC」への期待と不安 桁外れに速いが… (3/3ページ)

木下隆之
木下隆之

 将来のモータースポーツを変える?

 ゼロエミッションだから、走らせる場所に制約がないことは武器かもしれない。爆音もないから、市街地だって走らせられる。たとえば、ドームの中で走らせることも可能だ。排気ガスに困ることはないし、爆音に耳をふさぐ必要もないのだ。近い将来のモータースポーツの形態を変える可能性を感じるのだ。

 「リーフニスモRC」をドライブしたことで、今後のモータースポーツの形態に関する様々な不安と期待が頭を駆け巡った。爆音がなく乗りやすいレーシングカーが、はたして観客のハートを掴むことができるのか。あるいは逆に、環境適合性の高さによって、新たなモータースポーツファンを獲得することができるかもしれない。思考が複雑に絡み合って解けない。

 ともあれ、トヨタは2025年には550万台の電気モデルを発売するといい、日産がきたるEV時代を牽引すると積極的だ。EV時代がすぐそこに迫っていることに疑いはない。そしてその時、モータースポーツは存在しているのか消滅しているのか、あるいはまた華々しい時代を迎えているのか。「リーフニスモRC」は水先案内人の役割を持つ。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】こちらからどうぞ。

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