単独インタビュー

レクサス澤代表「最近は欧州勢のベンチマークに」「ミニバンで市場開拓」 (3/3ページ)

SankeiBiz編集部

Q.プレミアムブランドであるレクサスだが、一般的なビジネスマンでも手が届くような価格帯の車種が増えている

 「(エントリーモデルの小型SUV)『UX』を見ていただくとあの価格だが(※390万円~)、トヨタ車共通の新プラットフォーム『TNGA』をベースに補強したり専用部品を与えることで、レクサスとしての性能や質感、期待値を提供している。割安なベースを使っても、コストや手間暇を掛けないと『これって高いトヨタじゃん』と言われかねず、自らブランドに傷をつけることになる。ベース車に対してどれだけの付加価値を担保することで『LEXUS』のバッジをつけることができるのか、ということを先行開発の段階からやっている。その中で(クラスによって)単純に価格が下がっていくということではない。レクサスが恵まれているのは、トヨタブランドというマスを持っていることだ。それらを使っていかにレクサスの付加価値を付けられるか、ということだ」

 「レクサスのSUVには(上から)LX、RX、NX、UXとあるが、本当はヒエラルキーは作りたくない。お客様はそれぞれのライフスタイルによって『街乗りならコンパクト』『旅なら少し大きいクルマに乗りたい』と思うだろう。『小さいから安い』ではなく、『小さくて上質で楽しいクルマ』を、望まれる方に提供したい。お客様はクルマのサイズによって価格が動くものだという感覚をお持ちなので、その範疇でライフスタイルに合った“彩り”を持たせたいというのが私の想いだ」

Q.トップ在任中に成し遂げたいことは?

 「冒頭でも触れたが、日本発のプレミアムブランドとして『あれはあれで面白いブランドだよね』と主要マーケットで認識してもらうこと。今まで高級車といえばドイツ車だったが、レクサスの世界観に賛同してくれる人を増やしていきたい。最も大変なのは今のクルマ文化を作ってきた欧州だ。新参者の価値観をその社会で認めてもらうのは非常に難しいことだが、日本食や浮世絵、ファッションや建築など、日本文化を愛でる人は欧州に多い。日本人と美意識が合うのだろう。『自分たちには作れないけれど、これいいね』と素直に言ってくれる。数は少なくても、ドイツやイギリスには作れない良いものをプロダクトやサービスに入れていきたい。例えばディーラーでのおもてなしやデザイン、クルマの乗り味など、日本人が持っている独特の美意識でいろんなものが出来上がっているということだ」

 「どのメーカーも同じテーマで大・中・小(のクルマ)を展開しているが、レクサスはどの車種もデザインを変えている。こんなラグジュアリーブランドは世界中を見てもないのではないか。これはとんでもない努力を伴う。デザインは個々に違っても、裏にある美意識や考え方がしっかりと見えるから、群で見れば一つの世界となる。これも彼らとは違ったやり方だ。一本筋を通すことで、『こういう価値観のもとに作っているんだ』と分かってもらえるようになる。それがライフスタイルブランドだと思う。私がトップにいる間に多くの種をまき、ブランドとして大きく成長してほしい」

澤良宏(さわ・よしひろ) Lexus International President
京都工芸繊維大学意匠工芸学科卒業。1980年入社。カローラなどの小型車外形デザインを担当。米国駐在、内外装デザインを経て、異色のデザイナー出身チーフエンジニアとして、アイゴの開発を担当し、2017年4月にLexus International Presidentに就任

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