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5G、超高速で産業劇的変化 潜在力生かし自動運転・遠隔医療・IoT… (1/2ページ)

 国内で第5世代(5G)移動通信システムの実用化が近づいてきた。「超高速通信」の5Gの用途はスマートフォンにとどまらず、あらゆる産業に変革をもたらすと期待されている。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手に加え、今秋に参入する楽天の4社は来年に本格的にサービスを開始する予定だ。

 東京都内のソフトバンクの施設。ゴーグル型の仮想現実(VR)端末を装着すると、目の前に京都市の大江能楽堂の舞台が広がり、能楽師の指先が間近に迫る。4つの視点を自由に切り替えたり、首を振って360度見渡したりできる。可能にしたのは全方位カメラ4台の膨大な映像データを伝送する5G通信だ。

 低遅延で同時他接続

 通信規格の世代交代は、携帯端末やインターネットサービスの革新を促してきた。現行の第4世代(4G)が導入されてから約5年となる今年4月、総務省はドコモなど4社に5G専用の周波数を割り当てた。各社は個人のスマホ向けのサービスを展開する。

 5Gの特長の一つが4Gの100倍とされる高速通信だ。2時間の映画のダウンロードに要する時間は今の5分程度から5秒以下になる。映像サービスが拡大するとにらんだ世界の端末メーカーは早くも、大画面を備えた折り畳み式スマホを発表。ドコモの吉沢和弘社長は「スポーツ視聴やゲームなどにビジネスを広げる」と意気込む。

 産業界は、通信による時間のずれが0.001秒しかない「低遅延」や、1平方キロ内で100万台の機器に接続できる「同時多接続」という5Gの特性にも注目する。

 わずかな操作の遅れが事故に直結する自動運転では、通信遅延の解消で運転精度が格段に高まる。周辺の車や道路設備との通信にも5Gは不可欠だ。医療分野では映像伝送を駆使し、過疎地や救急車両内で患者を遠隔診断する技術の進展が見込まれる。

 総務省は携帯大手に限らず、企業が工場や敷地内に範囲を限定して独自通信を展開できる制度「ローカル5G」も創設する。工場機器の管理や小型無人機ドローンによる営農への活用を想定。さまざまな機器が通信でつながる「モノのインターネット(IoT)」が一気に開花しそうだ。

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