現場の風

日本調剤 医薬の有効活用へ地域単位の指針

 日本調剤フォーミュラリー事業推進部長 増原慶壮さんに聞く 

 --患者に有効で経済的な医薬品を使用するため医療機関や地域の単位で指針「フォーミュラリー」を作成する取り組みについて、大学病院時代から旗を振ってきた

 「欧米先進国では1980年代からフォーミュラリーが導入されているが、日本は遅れているため、ジェネリック医薬品(後発薬)で済むのに新薬が多数使われている。ジェネリックの有効活用にフォーミュラリーが必要だ」

 --海外ではどのように活用されているのか

 「英国のロンドンでは5地区に分けて、その地区内ではフォーミュラリーに基づき病院も家庭医も全く共通の採用薬を使う。地域内で『薬がないから入院する病院を変えてほしい』といったことが起こらないし、患者が入院から在宅に移ったときも同じ薬が使われるので、安心な医療を受けることができる」

 --日本ではどのくらい導入されているのか

 「山形県の酒田地区の地域医療連携法人や静岡県の協会けんぽなど数えるほどだ。ただ、最近は薬の作用が強くなり、副作用も多くなると、医師だけでは薬の面倒が見切れなくなっている。フォーミュラリーによりチーム医療で地域の薬剤師に任せていくのが世界の流れだ」

 --今年4月、日本調剤にフォーミュラリー事業推進部が設立されたが、今後の事業展開は

 「中立性を担保するため第三者委員会を立ち上げて『標準フォーミュラリー』を作り、それをベースにして地域に合ったフォーミュラリーの作成を病院などに提案していく。薬を評価する『高度DI室』も充実させる」

 --フォーミュラリー普及へ日本調剤の果たす役割は

 「入院日数短縮の流れの中、薬剤師が在宅患者の薬をフォローしなければならなくなってきているが、フォーミュラリーがあれば薬剤師から医師に薬の処方を提案しやすくなる。こういう薬剤師を日本調剤で育成したい」

【プロフィル】増原慶壮

 ますはら・けいそう 大阪薬科大卒。1975年、聖マリアンナ医科大病院薬剤部に入り、2001年に薬剤部長就任。薬剤部参与などを経て、17年に日本調剤子会社の日本医薬総合研究所に病院コンサルタントグループ部長として入社。今年4月から現職。広島県出身。

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