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プレミアムブランドが進むべき道? BMW「i3」が示す新たな価値創造 (1/4ページ)

SankeiBiz編集部

 BMWの小型電気自動車(EV)「i3」は、近似するモデルが思い当たらないほどに斬新なデザインが魅力だ。しかし、このクルマの価値はその先進的なスタイリングにとどまらない。プレミアムブランドが将来的に目指すべき道を誰よりも先に体現したモデルなのだ。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz編集部)

 EV走行で往復は可能か

 今回試乗したi3は、ベースモデルに発電用の小型ガソリンエンジンを搭載した派生モデルだ。これはレンジ・エクステンダーと呼ばれる発電機で、外部から充電したバッテリーの残量がわずかになると“自力発電”によって電力を供給する仕組み。「航続距離」や「充電インフラ」など、EVの弱点を補完するようなシステムだ。さらに、今年2月の小改良で120Ahの新型バッテリーも投入。総電力量が33kWhから42kWhに増加し、一回の充電走行可能距離を466km(WLTCモード)まで引き延ばした。

 実際にEVを運転すれば、不安や不便を感じることがよくある。バッテリー残量を示すメーターは想像以上の早さで減ることが多く、電欠への不安から次第に焦りが出てくる。充電設備を見つけてもポートの設置が1~2基しかなく、先客がいて待たされることが多々ある。これらが、EVが近距離移動向きと言われる所以だ。いざという時のことを考えると、バッテリーの改良とレンジ・エクステンダーの存在はかなり心強い。

 i3のレンジ・エクステンダー装備車の仕組みはこうだ。

  • 外部から充電したバッテリーで電気モーターを駆動してEV走行。
  • バッテリー残量が6.5%を切ると自動でレンジ・エクステンダーが作動し、電力を賄う。

 ちなみにバッテリー残量が75%を切った時点で、任意でレンジ・エクステンダーを作動させることもできる。レンジ・エクステンダーはあくまで発電機であり、駆動用エンジンとして一切機能しないのも特徴だ。

 今回は東京-箱根間を往復した。合計約200 kmの道のりだ。東京の千代田区を出発するときにデジタルメーターで航続可能距離を確認すると、バッテリーゲージに「245 km」と表示されている。要はバッテリーに蓄えた電力だけで245 kmほど走行できるということだ。これなら東京-箱根間を往復しても、まだ45 kmほど走る余裕があるという計算になる。とはいえ、燃費ならぬ“電費”は交通状況や走り方、走行モードの選択状況で大きく変化する。さらに目的地の箱根ターンパイクは起伏に富んだ屈曲路であるため、実際に走らせた時の電力消費状況には大きな関心がある。はたして電気だけで走り切ることができるのか-。大きな疑問を抱きながら箱根路に向けて出発した。

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