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甲子園球場に植物由来肥料、環境負荷低減へ ビール製造時の副産物を活用

 アサヒグループホールディングス(HD)傘下のアサヒバイオサイクル(東京都墨田区)が製造・販売する農業資材(肥料)が、阪神甲子園球場の芝の肥料に採用された。

 この肥料を使うと芝が病気に強くなるため、農薬散布機などを使った農薬散布の回数を減らすことができる。管理作業の低減による二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながると期待されている。

 この肥料には、ビール製造工程における副産物「ビール酵母細胞壁」が混ざっているのが特徴。ビール酵母細胞壁は植物由来のため安全なうえ、植物の根の成長を促進させる。また、植物の病原菌と似た成分が含まれていることから植物の免疫力を高める効果もあり、病気に強い植物が育つという。

 メリットはそれだけにとどまらない。アサヒバイオサイクルなどによると、あるゴルフ場の芝にビール酵母細胞壁を活用した肥料を使用したところ、農薬散布機などの使用回数が減ることで、温室効果ガス排出量がコース全体で約22.3%減少した。このほか、水稲収穫量当たりのCO2排出量では約29%削減する効果があるという。

 天然芝を採用している甲子園球場のグラウンドでは、選手がけがをすることなくプレーできるよう、一年を通して高品質なグラウンド管理が求められている。

 アサヒバイオサイクルの肥料は5月末に散布を開始し、第101回全国高校野球選手権大会が始まる直前の7月末までに計3回散布した。また、甲子園球場では環境に優しい球場を目指しており、アサヒバイオサイクルの肥料を使用することで、さらなる環境負荷低減につなげたい考えだ。

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