テクノロジー

操縦者と感覚共有「分身ロボ」、開発大詰め テレイグジスタンス

 ロボットベンチャーのTelexistence(テレイグジスタンス)による「分身ロボ」の開発が大詰めを迎えている。分身ロボは、離れた場所にあるロボットと操縦者の間で視覚や触覚を共有しながら操作する。労働力不足の中、特に危険地帯での作業などで利用が期待される。既に試作機は完成。量産を見据えて生産ラインを確保するため、複数の大手企業との交渉にも入っている。

 試作機は高さが約1.5メートルで、成人女性の身長とほぼ同じ。頭部のカメラやマイクを配し、高速通信を使い離れた場所から遠隔で操作する。加えて、ロボットの指には温度や振動、圧力などを検知するセンサーが付けられ、つかんだものの重さや質感などを、操縦者は手元の機器を通じて感じることができる。

 幅広い分野での産業にも適用できるよう、足回りにタイヤを採用し、可動範囲を広げた。

 製造業やサービス業では慢性的な人手不足に見舞われ、さらに少子化で人材の確保もままならない。彦坂雄一郎最高執行責任者(COO)は「きつい、危険な作業が代替できるまでにはまだ課題も残されているけれど、新たな知見も取り入れながら、世の中の人々の生活と労働の質が高められるようなロボットを送り出したい」と話している。

 同社は、東京大学の舘●(たち・すすむ)名誉教授が、1980年に提唱した遠隔のロボットを自分の分身として利用し、人間を時空の制約から開放する「遠隔存在」と呼ばれる概念の具現化を目指したベンチャー企業で、2017年1月に設立された。

 人間の身代わりとなる分身ロボをつくるためには、センシング(計測)やバーチャルリアリティー(VR、仮想現実)、通信、認知心理学など、ロボット工学だけでなく幅広い分野の知見が求められる。彦坂COOも「これらの知見のすり合わせにも気を配る必要があり、かつ最新のものを反映させなければならず、常に実験と検証の繰り返しだった」という。

 こうした高度な技術の活用により、人手不足や働き方改革などの社会課題の解決につながる可能性が評価され、科学技術振興機構(JST)と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「大学発ベンチャー表彰2018」のアーリーエッジ賞を受賞している。

 昨年11月には「シリーズA」と呼ばれる1回目の資金調達を実施。具体的な調達額は非公表だが、KDDIのベンチャーファンド、東京大学協創プラットフォームやみずほキャピタルといったベンチャーキャピタル(VC)、JST、JTB、前田建設工業などから総額で十数億円規模を調達したとみられる。

【会社概要】Telexistence

 ▽本社=東京都港区西新橋2-19-5 カザマビル3F

 ▽設立=2017年1月

 ▽資本金=未公表

 ▽従業員=約10人

 ▽事業内容=分身ロボの開発

●=日へんに章

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