サービス

東電傘下が東北、九州で家庭用小売り開始 競合の標準より3%安

 東京電力ホールディングス(HD)傘下の小売事業子会社、東京電力エナジーパートナー(EP)は22日、東北、九州地方と新潟県で家庭向け電力の販売を始めると発表した。23日から東北電力、九州電力の標準的な料金プランより3%程度安い価格に設定した新プランの申し込みを受け付ける。

 東電EPは2016年4月の電力小売りの全面自由化以降、関西、中部地方で家庭向け電力の販売を手掛けている。親会社の東電HDは、17年に策定した経営再建計画で家庭向け電力販売について全国展開する方針を示しており、今後も中国、四国、北陸地方などにエリアを広げていく。

 電力小売りの全面自由化で、ガス会社、ケーブルテレビ事業者など新電力が参入し、競争が激化。大手電力は防戦一方だ。16年4月に首都圏で参入した東京ガスは家庭向け電力販売の契約件数が今月、200万件を突破した。これに対し、同時期に東電EPが始めた関西、中部地方での家庭向け電力販売は5万件程度にとどまり、約2割の顧客を失ったとされる。

 民間調査会社の富士経済(東京)によると、25年度の新電力による販売電力量は計2775億キロワット時で、17年度に比べて2.7倍増える見通し。新電力は今度も首都圏を中心にシェアを伸ばし全体では3割を超えるもようだ。

 このため、東電EPは首都圏の顧客が他の地域に転居した際も、引き続き電力を供給できる態勢を整え、顧客をつなぎ留める考えだ。

【用語解説】電力小売り全面自由化

 東京電力ホールディングスや中部電力、関西電力など大手10社が地域ごとに独占していた家庭向け電力販売で新規参入を認める規制緩和策。競争を促して電気料金の引き下げやサービス向上につなげる狙いがあり、2016年4月に市場を開放した。ガスや石油元売りなどの異業種が参入し、利用者は自由に契約先を選べるようになった。都市ガスの家庭向け販売も17年4月に全面自由化された。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus