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アプリで配車、乗り合いバス 次世代移動「MaaS」に“落とし穴”は (3/3ページ)

 このほか、ディー・エヌ・エー(DeNA)も、タクシー配車アプリを使ったサービスを実施しているほか、ソニーも4月から大手タクシー5社と共同して配車サービズを始めた。KDDIも6月、ナビタイムジャパン(東京都港区)とともに、MaaSの実現に必要となるアプリを共同開発し、交通事業者や自治体への支援を行うと発表した。JR東日本、東急電鉄、小田急電鉄などの鉄道各社も実証実験に余念がない。訪日外国人観光客の増加を見据え、日本交通や日の丸交通、三菱地所、JTBなどは、空港リムジンバスと都心の自動運転タクシーが連携したサービスの実証実験を行う。

 将来的には、これらの「都市型」「観光型」のMaaSなら、商業ベースに乗ることが可能だろう。

 しかし、郊外や地方では、MaaSのメリットが発揮しづらい。国土交通省は6月、牽引役となる先駆的な取り組みを行う「先行モデル事業」を選定し、支援していくと発表した。全19事業のうち、地方郊外・過疎地型は5件あるが、いずれも脆弱な交通網や高齢者による交通事故の増加などの課題を抱えており、収益化への道は多難だ。

 地方における衰退が著しい日本でMaaSを普及させるためには、官民による地方型への支援を一層強化する視点が欠かせない。(鈴木正行)

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