高論卓説

既存業務システムの整理 解決へ問われる経営者の知見、判断 (1/3ページ)

 企業が収益向上のために最先端のITを活用する取り組みは、実証実験を経て実用段階に移ってきた。一方、新しいシステムを導入することで別の問題も発生する。IT資産が増えるので、維持・管理コストが増加するのだ。事業を立ち上げるときにはちょうど良いサイズであっても、事業の拡大に合わせてシステムは増強され続ける。そして、あるとき「システムに費用がかかりすぎている」という問題が顕在化する。(ビジネス・コンサルタント 小塚裕史)

 特に厄介なのは、企業の基幹業務を支えているシステム(以下、業務システムと呼ぶ)だ。多くの日本企業には、現場で考え抜かれた業務が存在する。効率的に業務を行う目的で、システムにはきめ細かい対応が加えられてきた。結果としてシステムの構造は複雑になり、少しの修正でも維持・管理にコストがかかるようになる。

 新しい技術を付け加えていくのであれば、元のシステムはなるべくスリムにしておいた方がよい。だが、業務システムのスリム化は一筋縄ではいかない。一つは費用対効果からの見方だ。システムを刷新しても売り上げが増えるわけではない。それなりの出費が必要で、経営としても簡単に投資を判断できない。もう一つは業務システムを使っている現場からの反対だ。今まで慣れ親しんだ道具が新しいものに変わるので、心理的抵抗が大きい。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus