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産業空洞化の危機感…航空機に活路 川崎重工、神戸製鋼所も連携 (1/2ページ)

 経済活動での存在感の低下が目立つ関西圏が、航空機産業の勃興を目指している。航空機エンジンや装備品を手がける製造業の拠点がある地の利を生かし、部品供給網への食い込みをはかる。価格競争力をつけた韓国、中国など新興国に日本は繊維、造船、家電と市場を奪われ、関西圏では基幹産業の空洞化さえ、懸念されている。航空機は飛躍の翼となるか-。(安田奈緒美)

 戦艦「大和」主砲削った旋盤受け継ぐ名門企業も

 兵庫県南部、播磨灘に面した臨海工業地域。機械加工業「きしろ」(同県明石市)の航空機部品製造の専用工場「播磨精機工場」では、最新鋭の大型加工設備が機械音を響かせていた。

 切りくずひとつ落ちていないフロアには、人の背丈を軽く超える大きな機体部品やエンジン部品が並べられていた。

 船舶部品の機械加工などを主力としてきた同社は、平成26年に航空機市場に本格参入した。

 きしろは大正4(1915)年に創業。漁業に使う船舶用エンジン製造から始まり、戦後は船舶部品を多く手掛けた。戦艦「大和」の主砲を削り出した大型旋盤を平成8(1996)年に神戸製鋼から譲渡され、平成25年までメンテナンスを続けて使用。今も予備機として、工場に現存する。100年余りの歴史を持つ日本のものづくり精神を受け継ぐ企業だ。

 「造船大国」日本は陰り

 昭和30(1955)年代に「造船大国」といわれる世界市場を席巻した日本だったが、韓国と中国が猛追。世界受注量で日本は韓国、中国に水をあけられている。

 きしろの大西一実常務取締役は「船舶部品は発注の浮き沈みが激しい。一方、航空機は一度信用を得て参入できれば部品のメンテナンスを含めて長く受注できる」と話し、航空機産業を有望視する。同社は航空機の機体部品を扱う神戸製鋼所などとの取引が伸び、売上高は参入直後の4倍に膨らんだ。

 関西には川崎重工や神戸製鋼、三菱重工業、島津製作所、住友精密工業、新明和工業など航空機のエンジンや機体、装備品を手掛け、米ボーイングや欧州エアバスと取引のある大手企業が集積している。

 現在、世界の民間航空機市場は年率約5%のペースで上昇。格安航空会社(LCC)の増加などを受けて、今後20年間で約5兆ドル(約532兆円)に上るとの見通しがある。部品供給網を強化すれば、航空機産業が今後の関西経済の基盤になる可能性は十分にある。

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