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長谷工、全方位の音源可視化 高齢者の見守りなどに応用検討

 長谷工コーポレーションは、市販の3次元(3D)マイクを使った全方位の音源情報の可視化技術による新たな見守りシステムの実用化を検討していることを明らかにした。音による確認により、プライバシー保護の観点から監視カメラが使用できない場所でも乳幼児や高齢者の見守りサービスが提供できるようになる見通しだ。

 音源の可視化は、長谷工と国立研究開発法人産業技術総合研究所、佐藤工業、CAEソリューションズ(東京都千代田区)などが共同開発した。3Dマイクで録音したデータから音源の方位角と仰角、強弱を計算し、マイクの設置場所を中心とする球面の「音の強度分布図」を作成。これを全天空カメラで撮影した画像に重ね合わせ、音源の方向を高精度で可視化する。

 この技術は、産総研が推進していた、駅構内や寺院などで3Dマイクを使って壁や天井、床などの室内の音の到来方向を解析する研究がベース。3Dマイクの価格低下が進み、従来の測定装置と比べて10分の1程度の安さとなったことから、長谷工などと共同で、全方位から届く音源の可視化システムを開発した。

 長谷工では現在、同システムを建設現場の環境調査などに導入。マンションの建設予定地で事前に電車や車の走行などで生じる音を測定・分析し設計に役立てているが、安価で迅速・簡単に全方向の音源の方向を可視化できることから、新たな応用分野として乳幼児や高齢者の見守りや、小型・ウェアラブル化して聴覚障害者への情報提供などに活用する検討を始めた。

 さらに、全方位の音源可視化は仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術への応用も期待できるとしており、幅広く応用分野を開拓していく考えだ。

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