金融

かんぽ不適切販売 実態調査の進捗具合焦点 不十分なら保険販売再開影響も

 かんぽ生命保険の不適切販売問題をめぐっては、日本郵政グループの実態調査が9月末までにどこまで進捗(しんちょく)するかが当面の焦点だ。金融庁と総務省は日本郵政に報告徴求命令を出し、約18万3000件に上る不適切な疑いがある契約のうち、実際に不適切だった契約の件数や対処を9月末までにまとめるよう求めている。内容が不十分であれば、自粛中の保険販売を10月に再開する根拠がさらに乏しくなるのは必至だ。

 郵政グループは不適切な疑いのある約18万3000件を「特定事案」と位置付け、実態調査に向けて対象の約16万人に契約内容を記載した書面の発送を8月末に終えた。9月上旬までに電話連絡した上で、本格的な訪問調査を行う。

 さらに、約3000万件の全契約についても9月中に案内状を送り、問題の有無を調べる。年内にこれらの調査を終えるが、弁護士で構成する特別調査委員会の調査と合わせ、9月末には中間報告を行う予定だ。

 もっとも金融庁と総務省は報告徴求命令で、特定事案については全ての調査を終えて提出するよう求めている。総務省幹部は「疑わしい契約が18万3000件あると言った以上そのままにするわけにはいかない」と述べ、「実際の契約復元や保険料の返還には時間を要するが、不適切契約の件数や対処までは期限に出してもらう」と強調する。

 調査は契約を獲得した郵便局員ではなく、かんぽ生命のコンプライアンス部門を中心に数百人態勢で実施しているが、件数が膨大なこともあり「なかなか面会できないなど苦戦している」と郵政関係者は語る。早くも「9月末で納得されるような調査結果になる可能性はかなり低い」(関係者)との見方も出ている。

 郵政グループは7月中旬から自粛しているかんぽ生命の保険商品の販売を10月に再開するが、「見切り発車」との声が社内外から上がる。顧客の不安を解消するための実態調査や原因究明に9月末までにめどが立つかどうかも不透明なのに「再開を表明する意味が分からない」と総務省幹部も意思決定の迷走ぶりに疑問を呈する。

 一方の3000万件の全件調査についても、顧客が2、3の質問に答えてはがきを返信する簡素な内容で、形ばかりの調査で顧客本位でないとの批判が強まっている。

 総務省幹部は問題を放置したばかりか、調査も含めた対応も後手に回らせている経営陣の責任についてこう憤った。

 「極めて重いと言わざるを得ない」(万福博之)

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