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関西企業、相次ぎ交通予約アプリ準備 バスも電車もスマホで一括

 鉄道やバス、タクシーなど多様な交通手段をスマートフォンのアプリで一括して予約できるサービスを関西企業が相次ぎ始めようとしている。観光地巡りの新たな手段として使えるだけでなく、交通の便が悪い過疎地でお年寄りが外出する需要も見込んでいる。

 残暑の厳しかった9月上旬の京都府。福知山市にある京都丹後鉄道福知山駅のホームでスマホに取り込んでいた「WILLERS(ウィラーズ)アプリ」を開いた。日本三景の一つ、天橋立(京都府宮津市)までの行き方を調べると電車とバスの組み合わせやレンタカーなど複数案が示された。観光船の表示画面をタップすると予約と決済ができる画面に移った。

 このアプリを提供しているのは高速バス大手のWILLER(ウィラー、大阪市)。観光客向けで、京都府と兵庫県、北海道のそれぞれ一部が対象地域だ。

 ウィラーは過疎地のお年寄りなどを対象に、タクシーを含めた複数の交通手段を定額利用できるサービスを提供することも検討している。「外出しやすくなるような仕組みにしたい」と広報担当者は話す。

 多様な交通手段を一体的に提供することは「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」と呼ばれ、国土交通省が今年6月に19のモデル事業を選定するなど官民で推進機運が高まる。ウィラーの事業が選定されたほか、近鉄グループホールディングスが今年10月から三重県の一部で実施する実験も選ばれた。バス、タクシーや小型船を組み合わせた交通手段を観光客に提示する。

 広島県と愛媛県のそれぞれ一部で実験をするのはJR西日本。10月から来年3月まで新幹線、タクシー、レンタカーやレンタサイクルなどの交通手段をアプリで予約できる仕組みを試す。

 課題もある。各企業がこうしたアプリを乱立させれば、利用者はどれを使えばいいか分かりにくくなる。関西では2025年大阪・関西万博までに使い勝手の良いサービスを確立しようと、大阪商工会議所が各企業による協議の場を設けるなどの動きがある。

 この協議に参加する日本総合研究所創発戦略センターの井上岳一シニアスペシャリストは「誰もが自由に、快適に移動できることが理想。まだまだ課題は多いが、万博に向けて一致団結したい」と話した。

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