リーダーの視点 鶴田東洋彦が聞く

技術力武器に世界需要を取り込む Jパワー・渡部肇史社長 (2/4ページ)

 世界最高の熱効率へ

 --石炭火力は

 「地球温暖化防止に逆行すると逆風が吹くが、低炭素化の推進に向けて技術で改革する。老朽化した石炭火力発電所は設備をリプレースして高効率化を図る。新規開発プロジェクトとしては、竹原火力(広島県)は最新鋭の発電技術である超々臨界圧ボイラーを採用して来年6月に運転開始を予定している。鹿島火力(茨城県)2号機も同じく7月に運転を始める予定だ。超々臨界圧の導入で世界最高水準の熱効率を達成するとともに、二酸化炭素(CO2)排出量を削減できる。CO2排出量の削減に向けて、さらなる取り組みも始めている」

 バイオマスにも注力

 「中国電力と共同で設立した大崎クールジェン(広島県)では『石炭ガス化複合発電(IGCC)』、IGCCに燃料電池を組み込んだ『石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)』といった次世代技術に挑んでいる。将来的には燃料電池を組み込んでCO2を出さずに水素をつくる脱炭素技術の実証実験にも乗り出す。石炭火力の概念を大きく変えることになる」

 --バイオマス燃料の有効活用にも取り組む

 「バイオマスを石炭と混ぜて焼やすことで石炭消費量を減らし、相対的にCO2排出量を削減する。石炭火力への投融資に対し金融機関が消極的になったり、機関投資家が株式投資を引き揚げたりする動きもあるようだが、火力発電ができる努力も進めている。その一つがバイオマスの混焼でCO2発生量を削減することだ。将来をにらんだプロジェクトだけでなく、至近で対応可能なことにも地道に取り組んでいく」

 --海外展開は

 「昨年12月に米ウエストモアランドガス火力発電所(ペンシルベニア州、出力92.5万キロワット)が運転を始めた。今年6月に、22年の運転開始を目指して米ジャクソンガス火力発電所(イリノイ州、120万キロワット)の建設に着工した。25年をターゲットとする中期計画には入っていなかったプロジェクトだが、計画を温めてきた米現地法人が手続きを踏んで所要の対応を行い、自社開発案件として建設が決まった。実現できるプロジェクトは今後も中期計画に入れていく」

 「インドネシア中部ジャワ州でもセントラルジャワ石炭火力(200万キロワット)の建設を進めている。海外ではガス火力が主力だが、インドネシアは石炭火力。われわれが培った技術への信頼度の高さでライバルに勝った。20年の運転開始時には同国の民間発電事業で最大規模となるだけでなく、超々臨界圧の導入や適切な環境対策技術により環境親和型高効率発電のモデルケースになる。このほか、英国で洋上風力(86万キロワット)に参画している。海外の持分出力は690万キロワット(出力2178万キロワット)だが、25年度には1000万キロワットを目指す」

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