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五輪まで1年切り…問われる国際親善試合の真価と戦略性 (2/2ページ)

 観戦ツアーも一案

 マーケティング効果を第一義とするのではなく、強化戦略における成果を着実に残していくための国際親善試合のマッチメークとは、いかにあるべきなのか。日本で日本代表と戦うことに対戦国にとっての強化策としての成果が見込まれ、その対戦国が本気で立ち向かってくるケースであれば、何ら問題はない。必然的に、試合としての質も高まり、注目度も増す。しかし、対戦国が日本と同じ価値観に立てなければ、マッチメークは成り立たない。来日する対戦国にとっては、日本への長い移動距離による負担も大きく、試合を行う意義が問われるからだ。

 Bリーグが確実に成長し、選手強化の日常的な主戦場となり、競技力全体のボトムアップが期待できるバスケットボール界にあって、特に欧州勢との対戦経験は、競技団体挙げての重要な事業として戦略構築していくべき課題であるように思う。スポンサーシップ効果を生み出すのならば、ネットを介したさまざまな技術の応用が考えられるし、ファンを動員した観戦ツアーをビジネス化してもいい。

 Bリーグシーズンを終えた夏場に、集中的に欧州各国を行脚する親善試合シリーズを組み、それを国内に利益をもたらす事業として戦略構築はできないだろうか。世界と力の格差が明確となった日本のバスケットボール界は、新たな局面に立ち向かうべきであろう。そこに、競技団体としての国際視点での戦略性も問われる。期待してやまない。

【プロフィル】今昌司

 こん・まさし 専修大法卒。広告会社各社で営業やスポーツ事業を担当。伊藤忠商事、ナイキジャパンを経て、2002年からフリーランスで国際スポーツ大会の運営計画設計、運営実務のほか、スポーツマーケティング企画業に従事。16年から亜細亜大経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師も務める。

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