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アマゾン「お坊さん便」ついに中止 “水と油”仏教界と葬儀業界が急接近 (2/3ページ)

 よりそうの場合、墓回向や法要での読経で3万5000円(初回)だ。葬儀の場合は1日葬での読経で8万5000円~(戒名授与込み)、一般葬・家族葬での読経で16万円~(同)となっている。DMM.comグループ「終活ねっと」でも同水準の料金だ。

 では、通常の菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)での布施相場と比べてどうか。寺の檀家に属していれば、葬式や回忌法要、墓・仏壇回向などはすべて菩提寺の住職に依頼することになる。その際の布施の金額は決まっておらず、施主の「お気持ち」ということになる。

 仮に喪主の生活状況が厳しければ、「葬儀一式で1万円」ということもありえるだろうし、逆に富裕層や信心深い人なら「100万円以上」ということもあるかもしれない。布施の金額は従来、地域相場や遺族の懐具合を鑑み、寺院側との「阿吽(あうん)の呼吸」で決まっていた。

 したがって、僧侶派遣と寺院の布施額は、どちらが高いとも安いとも言い難いが、概して都市部では派遣業者のほうが割安で、地方都市では寺院の布施のほうが安い傾向にはある。

 菩提寺を持たない人や、故郷から離れて都会に住んでいる人は寺との接点が乏しい。「布施金額をハッキリと教えてもらいたい」という施主は少なくなかった。僧侶派遣は、そうした合理主義を求める都会型の施主のニーズに応えてきた。

 派遣僧侶の場合、マージンとして40~50%が業者の取り分

 もっとも、寺院でも布施の相場を檀家から聞かれれば、目安金額を提示するケースが多いのも事実。本来の布施の精神は「喜捨(功徳を積むために喜んで金品を差し出すこと)」であり、そこに明確な金額などはないのが先述の通りだが、実態としては、施主に「どうしても金額を教えてほしい」と言われれば、多くの住職はある程度の目安を提示してきた。

 派遣僧侶の場合、マージンとして40~50%が業者の取り分として差し引かれることが多い。自坊で法事や葬儀をやったほうがはるかに僧侶の取り分は多くなる。派遣登録されている僧侶のメリットは薄いようにも思える。

 しかし、寺を持たない僧侶や、檀家の数が少ない僧侶にとっては、貴重な収入源にもなっている側面もある。僧侶派遣は「地域社会の衰退」「寺院環境の変化」などを背景にして、出現すべくして出現したサービスなのだ。

 2015年にアマゾンに出品、業績は昨年比150%超と好調

 そんな中で、よりそうは僧侶派遣業の先駆的存在として頭角を現してきた。よりそうが「お坊さん便」を始めたのは2013年。その2年後の2015年にアマゾンに出品。すると、注文が急増し、話題をさらった。

 「年間累計問い合わせ数は2014年度末実績に比べて、2018年度末は約13倍。直近の業績は昨年比で150%超(2019年第2四半期/新規外部受注分)と成長しています」(同社広報)。現在、同社に登録している僧侶は1300人超にも及ぶという。

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