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地方滅ぼす「顧客見ない病」 “やれるムダ行政”が苦しめる (2/3ページ)

 政策型事業における「顧客調査」と「競争戦略」の不在

 しかし、予算をつけて入札するという形式ばかりで民間と付き合ってきた行政は、個別企業に細かなコンタクトを取ると議会から癒着を疑われるなどを理由に民間を避けます。結果、事業責任を持たないコンサルなどに丸投げしてしまうことが多くあります。

 また、自分たちの思いや考え方ばかりで、地域内に類似する競合サービスがあることを無視しがちです。

 行政サービスの多くは、競争に晒されていることを前提に行われません。むしろ隣の自治体にあるものを自分たちの自治体にも作りたいという横並びの計画が多く、競争戦略のない場合がほとんどです。行政計画に競合分析が細かく行われ、そこに打ち勝つという狙いが書かれているものはほぼありません。

 奈良公園バスターミナルの場合も類似する駐車場サービスが地元にあったわけです。にもかかわらず、そこより良いサービスを作らなければ利用されないというあたり前のことが、踏まえられていなかったからこそ、出だしの失敗を招きました。

 とはいえ、競争戦略がそこになかったという問題の背後には、民間施設で代替可能なのであれば、そもそも役所がターミナル事業を巨額の予算をかけてまで取り組む必要があったのかという根本原因も出てきてしまう側面もあります。

 20年たっても治らない深刻な病

 20年ほど前、岡山県津山市に中心部活性化のために開発された「アルネ・津山」という複合施設の高層階と地下に巨大な駐車場が開発されました。中心部には駐車場が少ないため、大型商業施設と駐車場を整備すれば人が集まるだろうという、よくある仮説をもとに作られましたが、開業後すぐに経営が傾いて市が救済に出る羽目になりました。

 商業施設を主体とするために、建物の5階から屋上にかけて作られた駐車場まで自走式で上がるのが利用者には不便であり、そもそも商業施設の魅力がないために長時間の買い物をする必要もないという顧客調査のなさ。さらに中心部が衰退したことで施設周辺にある時間貸し駐車場なども多く供給され、それらの利便性が高いために競争にも負けたという実態がありました。

 駐車場のみならず、この商業施設自体が過剰に高コストで開発され、その近隣の大手商業モールと比較して商業物件としての競争力がありません。結果、家賃と維持費が釣り合わず、第三セクターの運営会社が経営難に陥ってしまいます。いまだ百貨店などが一部残ってはいるものの、多くのフロアは自治体が税金で維持する公共施設ばかりになっています。

 このように政策型事業では顧客調査が乏しく、競争戦略を持たないがために計画から大きく乖離(かいり)した実績になることが後を絶ちません。

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