話題・その他

例年以上に低迷するM&A案件、8年ぶり最低水準 上向く可能性は? (1/2ページ)

 M&A(企業の合併・買収)の世界で秋は雨乞いの季節のごとく案件が細るが、今年は一段と低迷し干魃(かんばつ)の様相を濃くしている。

 低成長と混乱の欧州

 ブルームバーグがまとめたデータによれば、9月1日から10月23日までに世界で発表されたM&A案件は前年より33%少ない約2010億ドル(約21兆7500億円)と、2011年以来の最低水準に沈んでいる。例年、米国の祝日「レイバーデー」(労働者の日、今年は9月2日)を機に秋枯れが始まり、企業トップがその年の不安を振り払って再び買収案件を検討できるようになるかどうかと、バンカーをやきもきさせる。

 ゴールドマン・サックスのグローバルM&A共同責任者、ダスティー・フィリップ氏は「M&A市場にやや軟調さが見受けられるのは明らかだ。8月に入って市場のボラティリティー(変動性)が著しく上昇し、企業景況感もいささか弱含んだ。英国の欧州連合(EU)離脱と米大統領選挙の両方に通商と政治に関連した現実の不確かさがある」と説明する。

 今年は単なる秋枯れではない。年初来の世界のM&Aは前年同期比12%減の1兆8000億ドルに減少しており、通信や公益、エネルギー、金融サービスの案件の落ち込みが著しい。

 案件が減少した理由はいくつかある。米国勢は従来、欧州のM&Aを牽引(けんいん)してきたが、同地域の低成長と政治的混乱を嫌気して大陸での案件を敬遠している。

 また、最近破談した2つの案件は、株主らが国境を越えた大型取引にどの程度弱気なのかを明らかにした。香港証券取引所は10月、ロンドン証券取引所グループ(LSE)に対する296億ポンド(約4兆1500億円)の一方的な買収提案を取り下げ、米たばこ大手フィリップモリスインターナショナル(PMI)と同業の米アルトリア・グループは合併に向けた協議を9月に終了した。

 国際的な法律事務所クリアリー・ゴットリーブ・スティーン・アンド・ハミルトンのM&A担当パートナー(共同経営者)、ジム・ラングストン氏は「世界は不確実さだらけだ。だから企業は時間をかけて戦略計画と案件を再評価し、やりたいことと今がそれにふさわしい時期かを割り出している」と話す。

 英企業案件には期待

 ただ不確定要素にもかかわらず、M&A活動は上向くと楽観視するバンカーもいる。

 UBSグループの天然資源、ヘルスケアM&Aチーム責任者、アントニオ・アルバレス・カノ氏は「下半期はそんなに悪くないとみている。何人かに聞いた話では、下半期から来年にかけてパイプライン(候補案件)は豊富なようだ」とコメントしている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus