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業績低迷のパナソニック 構造改革を加速 

 パナソニックが液晶パネル事業に続き、半導体事業を売却する方針を固めた。収益力強化を目指し、「赤字事業の撲滅」(津賀一宏社長)を一気に進める構えだ。すでにテレビ事業についても、一部を生産委託に切り替えるなど縮小の方向性を打ち出している。オフィスの空間設計や工場の省人化などの法人向けサービス事業を軸にした事業構造を再構築する方針で、パナソニックは大きな転換期を迎えた。

 パナソニックはかつて「連結売上高10兆円」を目指していたが、近年は主力の家電事業で苦戦しているほか、数千億円規模の投資を集中させた車載事業の利益貢献が遅れている。平成31年3月期の連結営業利益率(売上高に占める営業利益の割合)は約5%と、ソニー(約10%)や日立製作所(約8%)に差をつけられており、業績回復を目指した不採算事業からの撤退を急いでいる。

 半導体事業には昭和27年にオランダ・フィリップスと合弁会社を設立して参入。自社製品に搭載するなどしてシェアを伸ばし、一時は世界の上位をうかがえる位置にいた。ただ、近年は赤字が続き、経営の重荷になっていた。

 世界の半導体市場ではかつて日本のメーカーが高いシェアを握っていたが、韓国や台湾メーカーの攻勢を受けて競争力が低下。NECと日立製作所の半導体部門を統合して設立されたエルピーダメモリも平成24年に経営破綻した。パナソニックの撤退により、今後さらに日本メーカーの存在感が低下しそうだ。

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