メーカー

パナ、半導体事業から撤退 台湾企業に売却 成長分野へ経営資源集中

 パナソニックは28日、半導体事業から撤退すると発表した。台湾の半導体メーカー、新唐科技(ヌヴォトン・テクノロジー)に株式や施設などを売却する。売却額は2億5000万ドル(約270億円)。譲渡は2020年6月1日を予定している。

 赤字事業の見直しの一環。パナソニックは今月21日には液晶パネル生産からの撤退を表明していた。今後は車載用電池など成長が見込める事業に経営資源を集中する。

 半導体事業を手がける完全子会社、パナソニックセミコンダクターソリューションズ(PSCS、京都府長岡京市)を売却。富山県や新潟県の3工場を運営する合弁会社の持ち分も譲渡するが、一部の関連部品事業は残す。

 国内の半導体メーカーに関しては、キオクシア(旧東芝メモリ)とルネサスエレクトロニクス、ソニーセミコンダクタソリューションズの3社は世界的に見ても規模が大きく、パナソニックなど下位メーカーを大きく引き離している。キオクシアの記憶媒体フラッシュメモリーをはじめ上位3社は競争力のある製品を持つが、パナソニックなどは成長戦略を描けておらず、苦境が鮮明になった。

 パナソニックは1952年にオランダのフィリップス社と半導体事業の合弁会社を設立した。90年代から2000年代にかけてテレビ向けの生産で事業を拡大し、世界上位の売上高を誇っていたが、近年は業績が悪化。事業を縮小していた。

 国内の半導体産業も1980年代は、DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)などで世界をリードしたが、90年代に米国勢に逆転された。台湾など新興勢力も台頭して日本製品の優位性はさらに揺らぎ業界再編が活発化した。

 パナソニックは2021年度までに人件費の削減や拠点集約などで1000億円規模のコストを削減し、赤字事業を撲滅する計画を掲げる。今後は車載用電池など成長が見込める企業向け事業を強化して生き残りを目指す。

                  ◇

【用語解説】パナソニックの構造改革

 2021年度までに1000億円のコスト削減を目指す。内訳は人件費の圧縮で300億円、拠点集約などで300億円、構造的赤字事業の見直しによる赤字減少分で400億円。半導体と液晶パネルは既に事業撤退を決めた。太陽光事業は赤字続きで早期黒字化が課題となっている。成長の柱と見込む車載事業も不振が続き「再挑戦事業」と位置付け、収益改善に努めている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus