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アステラス、3200億円で米バイオ買収 遺伝子治療を強化

 アステラス製薬は3日、米バイオテクノロジー企業のオーデンテス・セラピューティクス(カリフォルニア州)を買収すると発表した。買収額は約30億ドル(約3200億円)で、2020年3月までの完了を目指す。アステラスが重点領域と位置づける、治療遺伝子を体内に入れて病気を治す遺伝子治療分野を強化するのが狙い。

 オーデンテスは12年設立のベンチャーで、16年には米ナスダックへ上場した。希少で重篤な神経筋疾患を対象に、「アデノ随伴ウイルス(AAV)」を使った遺伝子治療薬を開発。製造に関する独自のノウハウも持つという。

 アステラスは、買収に当たり株式公開買い付け(TOB)を実施。オーデンテスの2日の終値の約2.1倍となる1株60ドルで全株式を取得する方針だ。

 アステラスによると、同じ遺伝子治療薬でも神経筋疾患では目の疾患に比べ約1万倍もの投与量が必要という。

 3日、都内で行われた記者会見で、岡村直樹副社長は「(オーデンテスの)大量の治療薬をきちんと製造できる能力は、非常に大きな競合優位になる」と買収の意義を強調した。同社は今後、自社の技術とオーデンテスの技術を融合させ、より一般的な疾患への対応も強化したいとしている。

 製薬業界では、有望な新薬候補を取り込んだりする狙いから、競合他社やベンチャーを買収するケースが相次いでいる。

 日本メーカーでは、武田薬品工業が今年1月にアイルランド製薬大手シャイアーを約6兆2000億円で買収したばかり。アステラスも10年に米OSIファーマシューティカルズを約40億ドルで傘下に収めたほか、近年は数百億円でベンチャーを買収するケースが目立つ。

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