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スマホ決済は陣取り合戦へ 「auペイ」ローソンと連携、加速する“合従連衡”

 KDDI(au)とローソンは16日、KDDIのスマートフォン決済分野で提携すると発表した。スマホ決済「auペイ」のポイントをローソンなどで使える共通ポイント「ポンタ」に統一し、顧客基盤の拡大を狙う。スマホ決済で後発のKDDIは、還元で付与するポイントの利便性を高めることで巻き返し、顧客情報の活用などで将来のビッグデータビジネスにつなげたい考えだ。

 KDDIがローソンに対し、約2.1%を出資。出資額は約120億円となる見込み。ローソンの親会社の三菱商事から共通ポイントの「ポンタ」の運営会社の株式も20%取得する。

 KDDIは今年4月から「auペイ」を開始したが、利用者は700万人にとどまる。提携により、国内で約9000万人に上るポンタ会員の取り込みを狙う。KDDIの高橋誠社長は「スマホにひもづいた口座の陣取り合戦になっている。(ソフトバンクとヤフーが出資する)ペイペイの大きな対抗軸になっていく」と巻き返しに自信をみせた。

 将来的には、利用者の好みに合わせたクーポン券を配信したり、賞味期限の近づいた商品の特売を特定の顧客に向けて広告を配信したりするといった顧客データの活用につなげたい考え。ローソンにとっても、第5世代(5G)移動通信システムなどを活用した無人店舗の運営やKDDIが注力する金融サービスを取り扱えるなどの相乗効果が期待できる。

 ペイペイの利用者は2000万人に上る。ヤフーを傘下に持つZホールディングスとLINEが経営統合で合意しており、LINEペイが抱える3690万人の登録者の取り込みを狙っている。NTTドコモの「d払い」も顧客数が約2000万人で、ペイペイに迫る。ドコモもローソンに約2%出資しており、スマホ決済「d払い」で予約注文ができるサービスを来春以降に導入する予定だ。

 スマホ決済は、政府のポイント還元施策で一気に普及した。ただ、各社は還元施策終了後の客離れを警戒しており、ポイントの運営会社も巻き込んだ合従連衡が加速しそうだ。(高木克聡)

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