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政府、技術革新とのバランスに配慮 法律による巨大IT規制は最小限に

 新法案「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案」など巨大IT企業への新規制の検討で政府が配慮したのは規制と技術革新とのバランスだ。巨大IT企業の多様なサービスは新たなビジネスを育成する効果もあるためで、法律による規制は最小限にとどめるとしている。個人情報保護などに関する法整備は国際的な流れで、政府は今後も海外の事例も視野に入れて規制を検討する。

 巨大IT企業が手掛けるインターネット関連ビジネスは技術の進歩やサービス開発のスピードが速い。過度に規制すれば経済活動を抑制する結果を招きかねない。例えば巨大IT企業が先行する人工知能(AI)関連技術は個人情報保護ばかりを気にしてデータの量が少ないと価値が十分に発揮できず、大量の個人情報を活用したビジネスが生まれにくくなる。

 ただ、個人情報を使ったサービスは、消費者の同意が軽視されるなどした場合には、拒否反応も予想される。このため巨大IT企業に関わる法整備は国際的な潮流にもなっている。

 欧州連合(EU)は昨年、「一般データ保護規制(GDPR)」を導入。欧州と取引がある企業などが集めた氏名やクレジットカード情報、位置データなど本人を特定できる情報の域外移転はデータ保護が十分と認められない限り原則として不可能となった。米カリフォルニア州でも来年1月から個人情報の保護を強化する法律が施行される。

 政府は今後行うデジタル広告市場の実態についての調査でも、英仏などの事例を参考にする方針。しかし日本にはヤフーや楽天など巨大IT企業と位置づけられる国内企業が存在することもあり、規制に積極的な欧州と比べ、規制と技術革新のバランスはより難しい課題になっている側面もある。(飯田耕司)

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