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企業注目「アーバンスポーツ」 選手支援をてこに町づくり参画視野

 東京五輪は若年層に人気のスケートボードやスポーツクライミングなど「アーバンスポーツ」に大きく門戸を開き、五輪発展の分水嶺とも注目される。アーバンスポーツに魅力を感じ、選手のサポートに乗り出す企業は多い。総務省の統計によると野球の行動者率(1年間で実施した人の割合)は1996年からの20年間でほぼ半減し、サッカーも減少傾向。定番のスポーツで伸びが見込めない中、新競技でなければ市場を開拓できないとの認識が背景にある。

 「無限の可能性」

 ITのミクシィが展開するエンタメ事業ブランドのXFLAGは、プロ野球のヤクルトやJリーグのFC東京と契約しているほか、近年はスケートボード男子の堀米雄斗、スポーツクライミング女子の野中生萌ら東京五輪でメダルが期待される有力選手を支援する。

 個人競技のサポートは大半がアーバンスポーツだ。スケートボードなどは市民が気軽に楽しめるような設備がまだ少なく、選手の支援を通じてパークの整備など町づくりに参画していく青写真がある。担当者は「(アーバンスポーツには)無限の可能性がある」と強調。五輪採用が支援拡大の追い風になったという。

 団塊世代が愛飲した栄養ドリンク剤に取って代わって市場が拡大しているエナジードリンク。業界大手のモンスターエナジーとレッドブルも、ターゲット層に人気絶大なアクションスポーツに積極投資する。

 モンスターエナジーはスケートボード男子ストリートの世界王者ナイジャ・ヒューストン(米国)らと契約を結ぶほか、アーバンスポーツの総合大会としては世界最大規模のXゲームを公式スポンサーとして支える。日本ではスノーボード男子ハーフパイプの2大会連続銀メダリストで東京五輪にもスケートボードで挑戦する平野歩夢(木下グループ)を看板アスリートに据えている。

 五輪効果は未知数

 モンスターエナジージャパン合同会社のマーケティング担当は、2000年代に成人となった「ミレニアル世代」に続く若年層が狙いという。「いわゆるZ世代に憧れを持ってもらえる選手。グローバルに実績があり、伸びしろもある選手」を支援対象に挙げた。

 ただ、こうした企業にとってアーバンスポーツの五輪採用はメリットが小さい。同担当は「五輪は利権の縛りがきつく、五輪スポンサーでなければPRの場がない」と説明。スケートボードの有望選手を抱えるマネジメント会社の担当者は「選手にも東京五輪に出られなくてもいいと伝えている。そこが重要なのではない」と話した。

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