金融

損保大手3社が住宅向け火災保険の見直し検討 災害多発、料金柔軟に

 損害保険大手グループ3社が住宅向け火災保険の見直しを検討することが8日、分かった。自然災害の多発で保険金支払額が増え、収支バランスが崩れていることが背景にあり、3社の社長が共同通信の取材に意欲を示した。最長10年の契約期間を短縮し、保険金支払額に応じて保険料を柔軟に設定するほか、加入者ごとの保険料に被災リスクを反映できるようにするとみられる。

 損保各社は2018年度の保険金支払額の増加を受け、20年度中にも保険料を引き上げる。ただ値上げ前に契約期間が複数年の保険に入り、料金を一括で支払った顧客には適用されないため、今後も災害多発が続いた場合、収支がさらに悪化する要因になる。各社は保険の見直しで収支改善を期待するが、河川や急斜面に近いなど一部の住宅は被災リスクが高いとみなされ、値上げ幅が大きくなる可能性がある。

 三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険を傘下に持つMS&ADホールディングスの柄沢康喜社長(69)は「(契約期間が短い)諸外国から見ても、これだけ長期なのは問題なのかもしれない」と話した。損保ジャパン日本興亜を子会社とするSOMPOホールディングスの桜田謙悟社長(63)は「10年を見通してリスクを計算するのは不可能」と指摘した。両社長とも最長10年の契約期間の短縮を検討課題に挙げた。

 一方、東京海上ホールディングスの小宮暁社長(59)は、火災保険に付ける人が多い水災補償の見直しに言及し、全国一律となっている保険料を「リスクの実態に見合った形にしていくことを考えたい」と述べた。

 水災補償は、大雨による床上浸水や土砂崩れで建物や家財に被害が出た場合などに保険金が支払われる。小宮氏は、河川や急斜面の近くの住宅は保険料を引き上げる一方、水害や土砂崩れに遭う恐れの少ない住宅は引き下げるといった対応策を検討する考えを示した。

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