リーダーの視点 鶴田東洋彦が聞く

“磁力”を強化し国際競争に勝つ (1/2ページ)

 【森ビル・辻慎吾社長(2-1)】

 「立体緑園都市」多彩な機能集約

 森ビルは創業以来、「都市はどうあるべきか」を考え続けてきた。その答えが暮らす、憩う、働く、集うといった機能を高度に複合させた街づくりで、東京の中心・港区でアークヒルズ、六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズなどを手掛けた。これらの街づくりで培ったノウハウの全てを注ぎ込む「ヒルズの未来形」として虎ノ門・麻布台プロジェクトが始まった。辻慎吾社長は「国際都市間競争で東京が勝たなければ日本は衰退していく」と指摘。その上で「世界からヒト、モノ、カネ、情報をひきつける磁力(総合力)を強化する必要がある。東京は世界との競争に勝っていかなければならない」と30年、50年先を見据えた街づくりに挑み続ける。

 東京の強みは規模

 --激しくなる国際都市間競争で東京が勝つための課題は

 「東京の未来を考える研究施設『森ビルアーバンラボ』を昨年10月に開設し、1000分の1スケールの詳細な都市模型を展示した。東京の模型は縦15メートル×横24メートルの大きさを誇り、都心13区、面積にして約230平方キロ分の範囲を再現した」

 「その横に同じスケールのニューヨーク(マンハッタン)と上海(浦東新区)の模型も置いてあるが、ニューヨークと比べると東京は2倍の大きさで、しかも密集地が多く、再開発する余地がまだあることが分かる。東京の強みは何といっても規模の大きさだ。経済は世界最大級で、食事はおいしいし、治安もいい。公共交通機関も発達しニューヨークやシンガポール、上海のような渋滞も少ない。こうした高いポテンシャルを生かすべきだ」

 --一方で弱みは

 「法人税率が高い。シンガポールや香港は企業誘致のため意図的に下げている。ビジネスを起こすのに必要な手続き先も国や都、区、警察など何カ所もあり面倒で、ビジネスのしやすさでは劣る。海外からのアクセスの問題もある。羽田空港の強化が必要で、国際線の直行便就航都市数がロンドンの約330に対し東京は約100と少ない。それだけ乗り継ぎが必要になるので不便だ」

 政官民連携で対策

 「森ビルのシンクタンク、森記念財団都市戦略研究所は2008年から毎年、経済や居住、文化・交流、交通・アクセスなど6分野で評価した世界の都市総合ランキングを発表している。東京はロンドン、ニューヨークに次いで3位だが、これで強み、弱みが分かる。これを分析して、政官民が連携して対策を練るべきだ」

 --課題は分かっている

 「大事なのは『国際都市間競争で負けるとまずい』と認識することだ。外資系企業のアジアのヘッドクオーターといえば昔は東京だったが、今はシンガポール、香港、そして東京の順だ。ヘッドクオーターに人は集まるから、東京から出ていくということは人口減少をもたらし都市間競争に負けることを意味する」

 「グローバルプレーヤーから『選ばれる都市』になるには都市の磁力を強化しなければいけない。ビジネス環境だけでなく、国際水準の住宅、ホテルやカンファレンスなど文化・交流施設、子供のための教育機関、交通インフラ、緑豊かな自然環境などが徒歩圏内に集約している街が必要だ。森ビルはここで勝負している」

 自然あふれる街

 --機能を高度に複合した街づくりがヒルズを生んだ

 「都心の真ん中でコンパクトシティーを実現するために提唱し実践してきた手法が、われわれのこだわりである『ヴァーティカル・ガーデンシティ(立体緑園都市)』だ。超高層ビルを建てることで足元に緑豊かなオープンスペースを創出し、住む、働く、遊ぶ、憩うなど多彩な都市機能を集約した。こうして『ヒルズ』が生まれた」

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