2020 成長への展望

キトー社長・鬼頭芳雄さん(56)

 環境負荷低減に注力、付加価値に挑む

 --市場環境をどう見ているのか

 「モノを持ち上げて運ぶ作業に欠かせないホイスト(巻上機)の顧客は重厚長大が中心だったが、今ではエンターテインメントや食品業界にも広がり、売り上げはじわじわと増えている。現状は踊り場だが、先行きは明るい見通しだ。自動車や工作機械、半導体などは2019年度に落ち込むものの、20年度から動き出しそうだ。一方で建設関連は強い。東京五輪・パラリンピックで棚上げされたプロジェクトが地方で始まり、統合型リゾート施設(IR)や大阪・関西万博などインフラ開発案件もあって強気だ」

 --海外は

 「中国は伸びた。今後も成長が続くとみている。環境や品質を重視する方向への社会思考の高まりを受けて、顧客が高品質、安全性を追求するようになるのが追い風だ。米中貿易摩擦も落としどころを探りながら歩み寄ると考えており、現状は重たい雲が立ちこめるが、今後は薄日が差すとみている。市場規模が大きい欧州はイタリア、フィンランド、オランダの企業3社買収で態勢が整った」

 --製品戦略は

 「安全性に加え、耐久性の強化にも徹底的にこだわる。環境負荷の低減につながるからだ。環境問題は今や避けて通れず、環境負荷を大きく低減させる事業に注力しなければならない。また社会が変化していく中で新たなイノベーションを起こし、新たな付加価値を提供する事業に生まれ変わる必要もある」

 --20年度が最終年度となる5カ年中期経営計画の進捗(しんちょく)状況は

 「1年程度遅れている感じだ。取り戻すのは難しいが、多少遅れても成長路線を着実に進む。(営業利益に減価償却費を足し戻した)EBITDAも製品・サービス領域の拡大と生産性向上により5年間でほぼ倍増の130億円を目指してきたが、19年度は91億円の見込みで目標達成は厳しい。新製品の投入が遅れ、買収した企業との相乗効果も予定通り行かなかった」

 --社会貢献については

 「障害者雇用の積極推進を言い始めてから約10年。身の丈で取り組むが、障害者雇用率は6.9%に達した。山梨県の本社工場がメインとなって活動しているが、聴覚障害者に対し手話通訳者がいるのは当たり前の光景となっている。最初はおっかなびっくりだったが、工夫しながら長く安心して働ける環境づくりに取り組んできた。社会の関心も高まっており、他社が見学に来たり意見交換をしたりする機会も増えている」

【プロフィル】鬼頭芳雄

 きとう・よしお 1986年慶大卒、88年米ユタ州立ユタ大経営卒。同年キトー入社。92年取締役。常務、専務、副社長を経て、2006年1月から現職。東京都出身。

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