金融

19年の投信、増加額が過去最大を更新 世界的な株高で18兆円の伸び

 投資信託協会がまとめた2019年末の投信概況によると、一般の投資家が購入できる公募投信の純資産総額(残高)は123兆1722億円となり、2年ぶりに過去最高を更新した。前年末と比べて約18兆円伸び、増加額も過去最大だった。世界的な株高で運用成績が改善した。

 19年の日経平均株価は年前半に低調な場面があったが、米中貿易協議の交渉進展への期待感が秋ごろから強まり、年間で約18%上昇した。米国株も過去最高値の更新が続くなど、国内外の株式相場は活況だった。日銀が4兆円超の日本株の上場投資信託(ETF)を購入したことも投信残高を押し上げた。

 投資信託協会の松谷博司会長は、老後に夫婦で約2000万円の蓄えが必要と試算した老後資金報告書問題をきっかけに「若い世代で資産形成への関心が高まった」と話す。

 18年に始まった少額投資非課税制度(NISA)の長期積立枠「つみたてNISA」も新規顧客の取り込みにつながったという。

 一方で、株価上昇を受け、ETFを除いた株式投信を手放して利益を確定する動きが広がった。購入額から解約や償還額を差し引いた資金動向は約5000億円のマイナスで、1997年以来22年ぶりの流出超過となった。

 投信を運用する金融機関による手数料引き下げ競争が激しい中、各社が経営を効率化する目的で新商品の投入を減らしたことも影響した。

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